HB
※デレデレ注意報が出ています 俺はどうしたというんだろう。 なんでこいつなんだ。 なんで古泉なんだ。 とりあえず、周りをよく見ろ。 「キョン！最近パソコンの調子が悪いんだけど、隣に行って、 最新の機種を献上するように言ってきなさい」 ハルヒだってこの通り性格は完全に破綻しているが、 見た目だけは完璧に近いぞ。 「キョン君、お茶、置いておきますね」 朝比奈さんはまさに部室のスイート・エンジェル、 この方に癒されるために俺は毎日を生きているようなもの。 「・・・」 長門とは言葉を交わすことこそ少ないが、長い付き合いの中で 微妙な表情の変化もすぐ分かるぞ、これは少し自慢だ。 なのに、なんでこいつなんだろうな。
「今日は、新しいゲームを持ってきたんです」 ハルヒの横暴をなだめて席につくと、待っていましたとばかりに 古泉が嬉しそうに鞄からゲームを取り出した。 おい、お前、そのサイズは鞄に入ったのか？無理やりすぎじゃないか？ と思うほどの大盤ゲームだ。 機関とやらから配布されているのか知らんが （しかしそうだとしたら機関も案外幼稚な趣味だよな） 月に1回はこうして新作を持ってくる。 大体1ヶ月も経てば飽きてくるから、ありがたいことだけどね。 何せ古泉はめっぽう弱くて、俺の圧勝ばかりでゲームが終わるからだ。 「人生ゲームです」 弾けんばかりの笑顔とはこのことか。ずいぶん嬉しそうだな。 俺たちの人生は確実にこのゲームより面白いぞ。 別にいいけどな。 どう考えても複数でやったほうが楽しそうなゲームだが、 古泉は最初から二人分しか用意せずに、準備を進めている。 人生ゲームにも色々と種類があったのか、と感心しつつ、 古泉の顔をじっと見てやると、笑顔で応答してきた。 ああ、かわいいな。 かわいい、かわいい。 見てられん。 視線を逸らした俺を見て、少し寂しそうにするのも、かわいすぎる。 おいおい、今は全員いるんだぞ、この部室に！ 頼むからあまり・・・刺激しないでくれ。 「どうぞ、お先に」 差し伸べられた手を思わず握ってしまいそうになるぜ。 ルーレットを回してスタートする、古泉、お前も頑張れよ。 またお前だけ「1」連続とか、よせよ。 俺だけが年を取って結婚して子どもを生むなんて、ごめんだからな。 ちゃんと俺に、ついてこい。 「これ・・・強い弱いって、あるんでしょうか」 いつの間にか借金まみれの古泉が、真剣な顔で口元に手を当てて悩んでいる。 一応、マスの数では俺とさほど離れてはいないが、なぜこうなる。 俺のこの金持ち具合を見てみろ。 「現実なら真逆になりそうね！キョン、今だけでも優越感に浸っておきなさい」 うるさいぞ、ハルヒ！ ごもっともな指摘であることに間違いはないが。 神妙な面持ちでルーレットを回す。 伏せられた睫毛が、顔に陰を落とす。 なんつー顔だ。 たまらん、かわいい。 不意に、窓の外でなにやら叫び声が聞こえてきて、 どうやら乱闘でも起きているようだと分かる。 そういや、谷口が「最近野球部とアメフト部の中がWAWAWA悪いらしくてよ」 とかなんとか言っていた気もする。その類か？ ハルヒは窓にかじりついて、そこよー！やっちゃいなさい！と 乱闘を大推進し始めた。隣に朝比奈さんもかけより、 ひゃあ、いやぁ、痛そうですぅと可愛らしい声で悲鳴をあげている。 長門はやはり興味がないようで、本から視線を動かさない。 俺はというと、長門寄りだ。 古泉から、視線を逸らすつもりはない。 外を見ようとルーレットから手を離して顔を上げた古泉は、 俺の視線に気付いてまた笑顔になる。 乱闘、 まだ、続いていろよ。 野球部もアメフト部の連中も、根性見せろ。 俺は見てないが。 「！」 両手で頭をつかんで引き寄せる。 ばれない様に、スピード勝負だ。 ばれたら世界が滅亡するんじゃないかというスリルで、 俺の心臓は激しいビートを打っていた。 触れるだけのキス、 それだけなのに心臓はぶっ壊れそうで、 とりあえずは、満足した。 「な、な、な、な」 空気を読んで小声で驚きを表しているこいつが、 またしょうもない。しょうもなく、かわいい。 本当に、まったく、どうしたものか。 他の女子達を差し置いて、何をしてるんだろうね、まったく。 なんでこいつなんだと聞かれても、 残念ながら万人が理解できる回答は持ち合わせていない。 ただ、かわいいんだ。 無性に。 とてつもなく。 そりゃあもう、うざったいくらいに。 かわいいんだよ。 もし俺が、これを別の奴に言われたら言ってやるね。 それは精神病だぞ、と。
キョンデレとかのレベルじゃないですね。古泉がかわいいというのは
人類共通の考えですが、かわいくてしょうもなくないですか、古泉。
谷口のあたりは悪ノリしすぎて悪ノリしすぎて・・・