言わなきゃよかった。
そんなことはよく思う。
どうも、俺は失言が多いらしい。
ハルヒもよく本気で怒らせちまったっけ・・・
なんて、思い出に浸る場合でもない。


「・・・」


勘弁してくれ。
そんな目で見ないでくれ。
妄言だ。
今すぐに忘れていただいて、構わない。


口は災いの元



テレビでは楽しそうに、とあるほほえましい親子の様子を流している。
はじめてのおつかいってやつか、
特に見るものがなかったからチャンネルを合わせていただけだ。


今までまともに見たことがなかったが、
これがまたえらく可愛らしい番組だった。
俺の妹にもこんな時期があったはずだが、
何せ俺ももう少し若かったのだからよく覚えていない。

小学生にも満たない女の子が一生懸命、
商店街を練り歩いてるのを見て心が癒された。
それは隣で見ている古泉も同じだったようで、
それはもう幸せそうな笑顔で(いつものことだがな)見ていた。


「可愛らしいですね」
「おう」
「あなたの妹さんもこのような感じだったのでは?」
「うちは・・・俺がこき使われてたからな」
「あはは、想像できます」
「うるさいっ」


栗色の柔らかい髪をしている少女は、どことなく古泉に似ていた。
失敗してもめげずに突っ込んでいくようなところは、
今は何事にも器用な古泉にもこんな頃があったんだろうかと想像させて、
余計に口の端が緩む。


「似てるな、こいつ」
「え?どなたにですか?」
「お前」
「僕ですか!?」
「似てるだろ」
「そうでしょうか・・・僕はあまり、そうは思いませんけど」
「髪型とか、髪の色とか」
「それくらいじゃないですか?」
「目もでかい」
「まあ、そうですが」
「お前が子供産んだらこんなんが産まれるのかね」
「え・・・」
「はー、かわいいな」


俺はあまりベラベラと喋るタイプじゃないんだ。
お前が相手だと、どうも、乗せられるというか。
放っておくとお前ばかりが喋り倒すからだ!

と、言い訳にならない言い訳が思いついたところで
どうしようもない。これは失態だ。


第一に、男に子供は産めない。俺だってわかってるさ。
第二に、とりあえず俺たちは付き合っているらしいのだが、
まだそこまでいっている関係ではないのに言ってしまった。
第三に、これじゃあ古泉がかわいいと言ってしまったような、
そんな流れではないか。


「えっと。あの。」


頭を抱えてうずくまると、古泉が何かフォローをしようと
必死に喋ろうとしているのが聞こえるが、
おそらく今は何を言っても逆効果だ。
頼むから、俺はここにいなかったものとしてくれ・・・!


どれくらいそうしていたか、
いつの間にかテレビのスイッチは切られている。
意を決して顔を上げると、古泉が真っ赤な顔のまま、こちらを見ている。


やめてくれ。
そんな顔をするな。
マジで勘弁してくれ。
俺が今まで、
どれだけ我慢してきたと思ってるんだ。
こんなところで台無しになっちまうだろう。


「産めるかは、分からないですけど」


産めない!
お前は男だろ!
まあ・・・ハルヒがそう望んだら、何が起きるか分からない世界だがな。
んなことを望まれたら、たまらん。




「あの、ええと。し、してみます・・・?」



これでも大事にしてきたつもりなんだぞ。
俺は。
期間にすると1週間という短い期間でも、だ!


しかしもう駄目だね。
そんな顔をされちゃあ、とてもじゃないが、我慢できそうにない。



古泉、お前が、言ったんだからな。



thank you !

キョンデレもいいところだぜ!な、ラブラブ2連続。
こうゆうのを書くとかゆいよね!読んでくださってる方はもっとかゆいと思います。


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