俺は割と、淡白なほうだ。
いったん気分が盛り上がるとそりゃ我慢できないが、
そうなるまでは耐えられる。
朝比奈さんの生着替えをうっかり見てしまったときに、
半勃ちすらしなかったのはさすがに呆れたけどな。
こらこら、せっかく天使の普段見れない姿を見られたというのに、
なんだね君のその態度は、と。

もしかすると女性そのものへの興味が薄れているのかもしれない、
というおぞましい予感は、感じなかったことにしよう。



ブランク



放課後も休日もハルヒの相手をする日々が続いた。
掃除当番までもが同じタイミングで当てられたため、
それを理由に遅刻もできない。


毎日毎日部室まで引っ張られ、
夕飯の時間ギリギリまで部活動に励み。
土日も朝から晩まで付き合わされる。
お前の有り余る体力は、本当に留まることをしらんな。


二週間続いた最後の日曜日、
さすがのハルヒも疲れたのか、早めの解散となった。

解散の、ん、が聞こえないうちにとっとと帰らせていただき、
ベッドに倒れ込むようにして、寝た。
ああ、俺はこの瞬間のために生きていたんだな。
頼むからハルヒ、夢の中でまで、暴れないでくれよ。




願い虚しく、夢でまで暴れたハルヒのおかげで、
「いい加減にしろー」
と気の抜けた自分の寝言で目が覚めた。
まったく、勘弁してくれ。


携帯を開くと20時を回っているとわかり、
同時にメールの着信にも気付いた。


ハルヒじゃありませんように、ハルヒじゃありませんように、ハルヒじゃありませんように。


今度こそ見事祈りが通じ、携帯の画面に映る送信者は、
古泉一樹。あー、よかった。


古泉・・・
古泉、か。


そういえば今日あいつと何か話したか?
昨日も、一昨日も、
会話には入っていたけど、
二人で話した記憶がないな。


『もう帰られましたか?よければ、これから、二人で会いたいのですが。』


受信は、16時20分。解散した、すぐ後だ。
あー、気付かなかった。


すぐに電話をかけてみると、
1コールも鳴らないうちに、古泉の声が現れる。
早いぞ、お前。


「あっあの、今日は、何か用事があったんですか?」
「いや、すまん、寝てた」
「そ…そうでしたか。お疲れだったんですね」
「そりゃ疲れるだろ、毎日あんなのの相手してりゃ」


夢の中の出来事を思い出すだけでも寒気がする。
正夢にならないでくれよ。


「お前こそ、何か俺に用があったのか?」
「…いえ、そうではないのですが、ええと…でも、
 ないとも言い切れなくて、あなたさえよければ、
 あ、でも、もう遅い時間なので、悪いですよね。その、
 ええと・・・」


あー回りくどい!
寝起きの悪さも重なり、ほぼ無意識に、
電源ボタンを押していた。

古泉の声が、ツー、ツーと無機質な音に変わる。
ったく、何が言いたいんだ、あいつは。
いつも回りくどい話し方はやめろと言ってるのに。


目も覚めちまったし、シャワーでも浴びてくるか。








残しておいてくれた夕飯も平らげ、
妹やシャミの相手も適当にこなし、
部屋に戻ると携帯が光って待っていた。

また、古泉からのメールだ。
しかも、また、1時間も前だ。


『すみません。ただ、あなたに会いたかったんです。今日はもう、無理でしょうか?』


21時半。
出かけるには、高校生の身分では遅すぎる時間だ。



だけど、
古泉がどんな顔でこのメールを打ったか想像するだけで、
途端に会いたくなった。
忙しくて、忘れてた。
古泉と二人で会っていなかったこと。
古泉に触れていなかったこと。
古泉とキスをしていなかったこと。
あいつの泣き顔を、しばらく見ていなかったこと。


「キョン君、こんな時間におでかけ?」

パジャマ姿の妹と、母親には古泉が熱を出して倒れたから看病してやる、
と仮病もいいところの苦しい理由を吐いた。
しかしまあ、たまに古泉は我が家にも来るのだが、
相当印象がいいらしく、母親からの許可がすぐに下りた。

あの安っぽいハンサム面も、役に立つものだな。


さっきだってあんな早さで電話に出たあいつのことだ。
メールの返事はしていないが、待っているに違いない。
曲がり角で転びそうになりながら、自己最速でチャリを走らせた。




チャイムが響く。
あ、チャリの鍵。締め忘れた気がする。
でも、戻ってる時間なんか、ない。



ドアが開き、出てきたのは、予想通りの顔をした、古泉だ。

「っ・・・」


なんだよ、
抱きつくなら、
部屋の中にしろって。
そんなに会いたかったのか。
いつもお前、二人きりの時は、
泣かされると分かってても、か。


おまえ、
ほんっとうに俺が好きなんだな。


柔らかい髪をぐしゃぐしゃと撫でてなだめ、
室内へ古泉を移動させる。さすがに近隣の皆様に見られるわけにはいかんだろ。

俺は、淡白なほうだというのは、認める。
古泉がこんなになるまで放っておいても平気で、
高校生の男子にはあるまじき事態だとも思う。
ただ、こんなこいつを見てしまうと、
もう駄目だ。

なんで今まで平気だったのか、まったくわからん。



「お前、そんなにやりたいの?」

部屋に入ってからも茶も出さずにひたすらあちこちに口づけてくる姿は、
いつもの恥ずかしがって消極的なこいつとは全く別人だ。

顔もいつも以上に赤いし、唇も熱い。
質問には答える気がないようだが、まあ、いいか。


「しょうがない奴だな・・・本当に」



服の上からでも分かる。
古泉が欲情してるのが。
お前のことなんか考えないでめちゃくちゃにしてるときだって
あるのに、それでも好きなのか、俺に抱かれるのが。


「は、うっ・・・」
「お前一人でやってたのか?すごい反応いいぞ」
「し、して、ないです、あ」



別にいいけどな、
どうせお前、俺のこと考えてやるんだろ。
だってお前は、俺が好きだからな。



先端から滲む体液で指を濡らして、
1本、中に入れると、くぅ、と喉の奥を鳴らした。

目が赤い。
泣きそうだけど、辛くはないよな。

「はっ、は、あああ、んうっ」


涎、垂れてるぞ。
なりふり構ってらんないくらい、気持ちいいのか。
指を増やして、ゆっくり、緩やかに動かしていると、
耐えられないといったふうに古泉の腰が動く。


「動くなよ。我慢できないのか?」
「あ、う、うううっ、も、もう・・・」
「もう?」
「ああ、んん、我慢、できない、ですっ・・・」


素直でよろしい。
じゃあ、入れてやるよ。
俺も、同じだしな。
ほんと、なんでいままで、何もしないでいられたんだろうな。


「あ、あっ、あああっ・・・!」
「くっ・・あつ、お前・・・・」



こんなに気持ちがいいのに。
こんなにたまらないのに。
熱くて、どろどろで、可愛くて。


「ああああ、ふあ、ああっ!」



両足を肩に担いで、腰を持ち上げる。
あ、やっぱり泣いたな。
この体勢は苦しいって言ってたよな。
だけど今なら、わりと、平気だろ。
泣いてるけど、気持ちよくて、泣いてるんだろ。


「古泉、古泉っ」
「ああ、うううう、き、もち、いいですっ・・」


素直だな、今日は。
いつもこうなら、いいな。
かといって、また2週間も放っておくなんて、
狙ってできないけどな。
思い出しちまったから。


ずるっと引き抜いて、また、奥まで入れるたびに、
古泉から涙が溢れて、ぎゅうう、と締め付けられる。
駄目だ。
もう、駄目だ。
こんなに、よかったっけ、こいつとやるの。



「こい、ず、みっ・・・も、いく」
「あっ、はいっ、あ、ううう」
「中に出すぞ、古泉」
「は、いっ・・・!」



古泉の腰が動く。
こら、いつも、されるがままになってるくせに、
なんだ、その動きは。
無理だ、無理だ、バカ。


「は、あっ・・・・・・!」
「あ、ああ、あああっ・・!!!」


その瞬間にまた締め付けが強くなって、
はじめてやったときみたいに、頭がくらくらした。





古泉を見ると、いつの間にか達していたようで、
下腹部がびしょびしょに濡れている。
触ってないぞ、入れてる間。


「そ、んな、見ないでください・・・・」
「おお、すまん」


ティッシュでふき取る・・・いつもより、多い、よな。


それは俺も、か。



「中、気持ち悪くねえ?」
「う・・・まあ。少し」
「出してやるから、風呂、行こうぜ」
「はい」



2週間ぶりだ。
これじゃ、終われないだろ。


お前も、な。




thank you !

誘い受書きたかったんだけどなー。うまく誘えてないなあ。
やらなくてもキョンはわりと平気で古泉は我慢できないと思います。
でもやりだすとキョンは超・がっついてほしいです。

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