「古泉くん、お米って偉大よね。あたし、 初めてお米を作った人はいくつ銀河を支配させてあげても足りないと思うの」 「おっしゃるとおりかと」 「それに見て、この広大な田んぼ。この景色は他じゃ滅多に見られないわよ」 俺たちがカラスと無言のバトルを繰り広げている田んぼに、 そいつらは突然、宇宙戦艦に乗って、やってきた。 戦艦のトラブルによる不時着らしく、 降りてきた男女は田んぼの一部をめちゃめちゃにした申し訳なさゆえに、 とりあえず褒めている、ように聞こえた。 「でも、作物を荒らす害鳥を追い払うのとか、大変なんでしょうね」 「そのためにカカシが存在するのですよ。偉大ですよね。 いるだけで、害鳥を防いでくれるんですから。不動の勇姿は弁慶のごとく、とでも言いましょうか」 おいおい、そりゃ褒めすぎだぜ。 そこのお前、いいやつじゃん。 緑色の軍服に身を包んだそいつは、農家ではまず見かけることがない、 えらく綺麗な顔をした兄ちゃんだった。 「カカシっていうの、これ。この顔なに?」 「へのへのもへじと呼ばれています。文字だけで顔のように見えるからですよ」 「ふうん、いいじゃない。気に入ったわ! ねえ古泉くん、今度、あなたの艦隊を作るって話、してたでしょ?」 「ええ、光栄なお話をいただきました」 「クルーはへのへのもへじにしましょ! きっと、古泉くんを守ってくれるもの!」 「えっ……」 黄色のカチューシャがやけに似合う、 赤い軍服の女のその一言で、なんと、 俺たちの体には、命が宿った。 あれ以来俺たちは、『古泉くん艦隊』 のクルーとして働いている。 古泉幕僚総長の話によると、あの女、涼宮ハルヒ閣下は願望を叶える能力があるとか。 だから、俺は、ここにいる。 古泉幕僚総長は憧れの的であり、俺たちが、心を奪われた相手でもある。 だってな、偉いのに偉ぶったりしねえし、 優しくて、 そんで、 作戦参謀が立てた作戦が成功したときの笑顔なんかさ、 めちゃくちゃ可愛かったりして、ぐっとくるんだ。 「えっ、これ、僕にくださるんですか? へえ、お米をチョコでコーティングしているんですね」 今日はバレンタインデー、俺たちの気持ちを伝える、絶好のチャンスだ。 チョコ米を敷き詰めた箱の中に、自慢の白米で『すき』という文字を浮かび上がらせた。 「ありがとうございます。とても、嬉しいですよ。 僕も皆さんが大好きです、いつも、的確に任務を遂行してくださって助かっています」 総長の笑顔と優しい言葉に、俺を含めた全員が喜びで打ち震える。 両思い、ってことですよね、総長! 俺たち、へのへのもへじだから何も喋れないし、 大したことできないけど、 全員で力を合わせれば、 総長を守ったり、喜ばせたり、出来ると思うんだ。 「え、あ、ちょっと、皆さんっ……!」 喜んでもらえるように俺たち、精いっぱい、総長のこと、愛しますから! 古泉くん艦隊、バンザーイ!
瓜売りさん宅のへの古ペーパーに参加させてもらったときのものですw
A5一枚なので短く!頑張って!おさめた記憶があります(・∀・)
へのへのもへじ×古泉おいしい!!