※デレかもしれないです








今日は珍しくハルヒの集合命令のかからなかった休日である。
なんと平和なことか。
毎日毎日、振り回されてる俺たちだ、
たまにはこんな日もあっていいだろう。


ゆっくり休もうじゃないか。
元々俺はそういう人間だったんだ。



怠惰




「おはようございます」



まだ起きる気がないのにふと目を開けたとき、
隣にいる古泉がにっこりと微笑んで挨拶をしてきた。
起きてたのか。人の寝顔をじっと眺めているのはやめてくれ。

「まだ寝る」
「もう、10時ですよ」
「まだ、10時だろ」
「ふふっ、仕方ないですね」


お前だけ起こしやしないぞ。
また前みたいに寝顔を撮られるのは勘弁だ、
朝比奈さんのデジカメに記録されるのは大変光栄だが、
お前に保存されるのは・・・別にいいけど、少し、照れる。


起きようとしている古泉の背に手を回して、
ベッドの中に再度引き込んだ。
甘い抗議の声を上げる体に顔をうずくめると、
いいにおいがする。この部屋も、ベッドも、古泉も、
どれも俺の好きなにおいだ。安心する。


「寝ようぜ」
「僕はもう、目が覚めてしまいました」
「いいから」
「困った方だ」


昨夜は遅くまで起きてたじゃないか。
お前の方が疲れてるはずだよな、
あんなに声出して涙も流して色んな格好させられて。
なのになんで朝から爽やかなんだ、
いつものことだけど、お前らしいけど、俺はそうはできないんだよ。


だらだらしたい。
何もしないで寝ていたい。
たまにはいいじゃないか。
しかもこいつがいるっていうのがまたいい。
一人でそうすると、午後くらいにやっと意識がはっきりしてきて、
ああなんて無駄な時間を過ごしてしまったんだと後悔しがちだ。
だけどこいつがいると、
古泉と一緒にいるって意味がついてくるだろ。
それだと、無駄じゃない気がしないか。
気だけ、だとしても、いいだろ。
ほんとはどうでもいいんだ。何もかも。
どうでもよくて、こいつが隣にいれば、いいんだ。



こら、頭を撫でるな。
子供扱いされてるみたいじゃないか。
嫌なわけじゃない、けどなあ・・・
いつもはそれは俺の立場なのに。
でも、いいか。今はいいか。このままで。
考えるの面倒くさい。
もう、やめだ・・・・・










「こいずみ・・・それはまずい・・・」



は、夢か。
そうだよな。どおりでおかしいと思った。夢か。
古泉があんなことをするわけないもんな。
あー、驚いた。


「呼びました?」


ガチャリ、とドアが開いて、古泉が現れた。
あれ、今何時だ?

「14時半です」


寝すぎた。またも。
お前いつの間に起きてたんだ、確か一度少しだけ目が覚めたとき、
起こさないぞと捕まえていたはずだが。


「あなたはあまり、寝相が良くないですからね。
 途中でベッドから落とされました」


くすくす笑いながら言うな、そんな記憶はないっ!
しかし何度か、古泉にそういった事後報告を受けたことはある。



「起こせよ」


無理を言いながらやっと、体を起こす。
自分で起きるまでは何をされたって起きない、
古泉はとうに承知だからな、そんなことくらい。


「僕の夢見ていたんですか」


少しだけ照れくさそうに、古泉がベッド脇に座って聞いてくる。
まあ、そうだな、そう言われれば、見てたかもな。


「名前呼んだじゃないですか。どんな夢を?」


好奇心旺盛だな、聞いたところでしょうがないぞ。
そりゃもうお前がドン引きするような夢だ。
夢は願望の表れだね。

やれやれ・・・

「古泉、古泉」
「はい」


近寄ってきた唇を舐める。
何の味だ?コンソメ?朝飯か、いや、もう昼飯でも遅い時間だな。
また何か作ってくれてたんだな。すまんがそれ、もう少し後で。


「なんですか、いきなり」
「お前が思い出させるから」
「何をでしょうか?」
「夢」
「どんな夢を見ていたんですか、あなた」



昼間っから古泉をベッドに引きずり込むのもどうかと思う。
カーテンで遮断されてるものの、外はかなりいい天気だと分かる。
隙間から漏れる光はかなり明るい。
いい天気の日に、外にも出ずに、寝るだけ寝て、
起きたら起きたで古泉とこれ、だ。いやあ、贅沢だね。



「やろうぜ、古泉」
「えええ」
「なんだその顔は」
「だって・・・昨夜も・・・」
「何時間前のことだ、それは」
「ええと、寝たのが2時くらいですから、大体10時間以上前かと」
「ならやりたくもなるだろ」
「基準がわかりません」



いいから。
そんな話はどうでもいいから。


唇やわらけえ。
明るいから、顔がよく見える。
おとなしくなったな、いきなり。
かわいい、寝起きのぼーっとした目で見ても分かるくらいだ。


「んう、あっ」


やっぱりコンソメの味がする。スープか?
お前、好きだもんな。俺も、好きだけどな。
お前が作るものも、お前も。


今日は好きなことだけをしよう。
好きなものだけを食べて、
好きな奴とだけ一緒にいる。
他には何もしないしいらない。
どうせまた明日からは平穏無事とはかけ離れた日常が始まるんだ。


いいよな。
うん、いい。





thank you !
キョンのキャラソンが一時期「怠惰ライフ」と書かれたらしいので、
倦怠ライフもいいけど怠惰ならこうだな・・・みたいなのを書いてみました。
休日に14時に起きるのは私です。すみません。


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