「古泉くん、おいしい??」
「ええ、とてもおいしいです。こちらは、妹さんが?」
「うん!私がちぎったレタスだよ♪」
「どおりで。おかわりをしてしまいそうですね」
「てへへっ」


レタスだけのサラダをおかわり、か。お前、うさぎか?
しかし妹の嬉しそうな顔を見てしまうと、
古泉もそう言わざるをえないのは分かる。
妹の隣に座る母親も、あれこれとおかずを勧めまくり、
古泉は落ち着いて味わう暇すらなさそうだ。


いつもの食卓より明らかにおかずの種類が多い。
今日は、古泉が初めて我が家を訪れた日である。


おれんち



事の発端はそこまで大した話でもない。
一人暮らしで、古泉が毎日栄養素のまるで少ない食事ばかりを
していると知った俺は、


「じゃあ今度、ウチに飯食いに来いよ」

すぐに古泉を誘った。
家に帰ってから母親に話すと、妹からの絶賛の声もあいまって、
二つ返事でOKが出た。
以前テスト前に国木田が訪れたこともあり、好印象を与えている過去がある。
これがもし最初に連れてきたのが谷口だったとしたら、
母親も警戒心を抱いていたかも知れんな、俺の友人観に。



古泉の爽やかな笑顔がさらに今日は5割増しくらいになっていて、
見慣れていたはずの俺すらも目を覆わんばかりの輝きだった。


「はじめまして、古泉一樹と申します。息子さんにはいつもとても
 お世話になっていて、お礼の言葉は言い尽くせないほどです」

その後も、自分の家なのに逃げ出したくなるくらい俺を誉め出し、
作っていた煮物のタイマー音が鳴るまで、拷問のような時間が流れた。




母親は勿論速攻で古泉を気に入り、妹も前からよく懐いている。
結局夕飯も勧められた分だけ残さず食べ、
母親が3回断るまで食後の片づけを申し出た。


「あんまり気使わなくていいぞ、古泉」
「はは、これが僕の性分なもので」
「だろうけどな」


古泉とよっぽど話がしたいのか、
いつもより早く片づけを終えた母親は図々しくも古泉の隣に座り、
学校での俺の様子や部活動のことなどを聞いている。
SOS団、という怪しさ満載の名称は勿論出さずに、
古泉はきわめて平和的な会話をしてくれた。
お前のそういうところは、本当に尊敬するよ。


「古泉くん、一緒にお風呂入ろ〜!」


そんな平和な会話に割り込んだのが妹であり、
ちゃっかりバスタオルを2枚持って走り寄ってくる。
こら!いけません!



妹をなんとか諦めさせたものの、その次は
「古泉くんと一緒に寝る〜!」だ。ダメ、それもダメだ。
朝比奈さんと一緒に寝るところまでは許せたが、古泉はダメだ!



はっきりと断れない古泉や、にやにや笑いながら見ている母親は
何も役に立たず、俺は孤軍奮闘して妹と戦った。
結果、

「キョンくんのいじわるー!」

不貞寝された。
なんだ、俺のせいか。





そんなわけで泊まることになった古泉は自動的に俺の部屋に来る。
母親が準備した来客用の布団がしっかりと敷かれ、
触ってみると乾燥機にかけたらしくふわふわだ。
ちょっと気に入られすぎじゃないか、俺の家族に。


「僕こそ、気を使わせてしまったみたいで、申し訳ないです」


俺がたまに着ている部屋着に着替えた古泉は、
その布団の真ん中に座って俺を見上げた。


「別に、気にすんな。たぶん楽しんでるし」
「それならよいのですが」
「うるさくて、疲れただろ」
「いえ、まさか。僕もとても楽しかったですよ」


それなら、よかったけどな。
さて、と。




ベッドから降りて、古泉の隣に座る。


「布団の方がいいんですか?」
「そうじゃない」
「では・・・」
「やろうぜ、古泉」





「だっ・・・だめですよ!!」


小声で上げる抗議の声を掻き消すように、口付ける。
夜に同じ部屋にいるのに何もしないなんて、無理じゃないか?


「ちょっと、待って・・・隣は妹さんの部屋じゃないですかっ」
「そうだ」
「そうだじゃありません。気付かれてしまいます!」
「お前が声出さなきゃいいだろ」
「そんな・・・・無理です」
「じゃあ、口、塞ぐか。タオルあるし」
「鬼ですかあなたは」



母親も妹も、古泉を気に入ったのは、分かる。
俺と血が繋がっているんだからな。
けど、一番気に入ってるのは、絶対、俺だ。


「お、押し倒さないでくださいっ」
「いいから黙ってろ」
「気付かれて困るのはあなたのほうじゃないですか!」
「だから気付かれないようにしてくれよ」
「そんな・・・あ、やだっ」


足の間をまさぐると予想以上に大きな声が出て、
両手で口をおさえている。
ま、もう寝てるだろうけど、あんまり声出すのはまずいよな?


「口、おさえてろよ」
「あっ、あなたが手を離してくださいっ」
「そりゃ無理だな」
「や、だっ、ちょっと・・・」


風呂から上がってきてそんなに時間もたってない。
いつもより暖かくて、さらに俺の服を着て、俺の部屋にいる。
これが興奮せずにいられようか。
触っているうちに古泉もちゃんと興奮してきてるじゃないか。
よしよし。


「だめ、ですっ・・・あ、んうううっ」

声おさえろって、言ってんのに。
しかたないからキスをしながら、手を入れる。
そういや、トランクスも俺のだった。
あー、これ、これから履けないな。


「ん、んっ、んん、んう」


いい感じだ。
なんだかんだ言って、こんな状況で、お前も楽しいんだろ?
あー、我慢できない。
俺は、お前が家の中に入った時から変な感じだったんだ。
俺の家にお前がいる。まるで家族みたいじゃないか。
母親とも妹とも、あんなに早く打ち解けて。
出張中の父親だってきっとすぐ仲良くなれる。
家族公認、てやつだ。興奮するだろ、なあ。



鞄からローションを取り出し(なぜ鞄にあるかは聞かないで欲しい)
服を脱がせた古泉の背中に垂らす。


「は、あっ・・・」


制服を脱がさないままするのが好きで、
古泉の家でも、あと・・ほかの場所でも、
ほとんどこいつの服を脱がせたことはない。
今は、俺の家なのに、
見つかったらヤバいのに、
言い訳のしようがないほどに古泉を脱がせた。
早い話が、全部、だ。お前、肌、きれいだな。


「もう、だめ、ですっ・・・こんなの、見られたらっ」
「いいから・・・ほら、指、入れるから口おさえてろ」
「ふっ、く・・・」


従順で、かわいい。抗議したって結局は俺の言うとおりにする。
いつものことだ。
古泉は、俺が好きだから。



痛くならないように優しく触れる。
今日はちゃんと慣らしておこう、泣かせるのもいいんだが、
さすがにここだとまずい。明日目が腫れてても困る。


「ふ、う、はあっ・・・う、ん」


腰だけ上げた状態で、古泉は布団に顔をつけて両手で口をふさいで、
目をつぶったまま俺を受け入れている。
指はそのままで背中を舐めてやると、びくりと反応する。
かわいいな、本当に。






「古泉、もう、いいか?」
「あの、ほんとに、するんですか」
「ここまでしてそりゃないだろ」
「そう、なんですが、こっ・・・声、我慢できそうになくて」


見下ろす古泉の頬は赤い。
それは、いつもより感じすぎてるから、ってことか?
お前の体を見てりゃ、触ってりゃ、分かるさ。


いい、もう、いい。聞かれたらそのときだ。
今は考えない。


「あ、う、あああっ」


入り口に何度か擦り付けて、古泉の腰が震えたところで、
一気に、奥まで、


「ああああっ!」


って、声、でか・・・!




思わず体が固まり、誰か来ないかと耳を澄ませてみたが、
大丈夫だ。足音はない。聞こえて、ないよな。たぶん。



「すみ、ません・・・」
「いや・・・俺も悪い」


さすがにやりすぎた。
興奮しすぎた。悪いな、古泉。


「うあっ・・・」


腰をおさえて、ゆっくりと動かす。
そう、これだけでも、じゅうぶん、だ。
あーー、古泉。


「あ、あ、あ、んんっ」


早く動かしてしまうと、肌の合わさる音が響いてしまう。
聞こえないとは思うが、気になるよな。
このままだと、少し・・・


「古泉、お前、上に乗れ」
「ふ、・・・えっ?」
「このままだと、やりにくい」
「でも、ぼく、ぼくは・・・」
「お前は乗ってるだけでいいから」


躊躇してる暇もない、そんな時間は勿体無い。
急かすとしぶしぶ、俺にまたがった。
月と少しだけ差し込む街頭の光りでぼんやり照らされた、
古泉の白い肌が衝撃的に綺麗だ。
見とれてしまう。
古泉、古泉、俺。



「古泉・・・ゆっくりでいいぞ」
「は、いっ・・・あ、うう」


手を添えた状態で、古泉は腰を落とす。


「あ、や、だっ・・・こえ、声っ」
「大丈夫だ、古泉」
「は、あ、ああ、く、うっ・・・あああ」


我慢しようと首を振って、快楽から逃げようと必死だ。
声を出さないように堪えているのも、健気だ。
お前じゃなくて俺がやりたいだけなのにな。
ここまでくれば、一緒か?


両手をまた口にもっていったのを確認して、古泉の腰を掴む。
上下に動かして、体を揺らすと、
両手の奥で気持ちの良さそうな声を上げて涙を流した。
あんまり泣くなよ、いつものことだけど、
すごい、かわいいけど、跡を残さないようにしとけよ。






見上げる古泉の姿には勿論堪えられるわけもなく、
何度か下から突き上げて、古泉の中で、果てた。
強く握ってやると古泉もすぐに、後を追った。


「はうっ・・・」


それでも古泉は、上から降りようとしない。
とりあえず涙を拭って、真っ赤な顔で、俺を見ている。
なんだよ、かわいいな。


「だいじょぶか、古泉」
「大丈夫、なんです、けど・・・あの・・・」
「なんだ?」
「抜い、たら・・こぼれちゃいます・・」



・・・。
それは、困るな。
ここ、布団だし。こぼれたら、ばれるな。



「なんだ、その・・・力入れて、抜け」
「力入りません」
「おいおい」
「あなたのせいじゃないですか」


泣くな、泣くな!
俺が悪かった!



腕を伸ばして、古泉が使っていたバスタオルを取る。
ああ、腕、ツりそうだ。
腰を浮かせて、それを敷く姿は、とても親には見せられない。

やっと古泉も腰を上げると、開いた足の間からぼたり、と
行為の証が流れ落ちた。恥ずかしそうにさらに顔を染めて、
すぐに足を閉じる。
このバスタオルは俺が責任を持って、手洗いしよう。





「まったく、信じられません・・・」
「お前だって良さそうだったくせに」
「そんなこと言わないでください」


結局、せっかくなので一緒に布団に入っている。
行為中の古泉の良さはもう語るまでもないが、
眠るまでの時間も、好きだ。
ああ、朝起きたときに隣にいるのも、割といい。


「また来いよ」
「それは・・・どうしましょうか」
「母親も妹もお前のこと気に入ってるし」
「そちらは、ありがたいんですが」
「俺も気に入ってるし」
「なんですか、それは・・・」


照れてるな、また。
この時間は、素に近いよな。お前の表情も、何もかも。
だから好きなんだ。
またお前と、近づいたような気になるから。



「お前、俺の家族になってもやっていけるな」
「えっ、家族、ですか」
「おう」
「それは・・・それは、そういうことでしょうか」
「どういうことだよ」
「いえ、なんでもないです」




あくびが出たところで会話は終了だ。
おやすみ、と一度だけ口付けて、目を閉じた。




眠りに落ちそうな中、わかった。
古泉、お前、さっきのがプロポーズだとでも思ったのか?
大概バカだな、お前も。



「それでも、いいけどな・・・」



俺、お前、好きだし。




thank you !

なんというデレデレ具合!!
最初はキョンの妹とのドタバタ物だったのに気付けばエロデレだよ。
そしてプロポーズてどんだけいつきもキョンもお花畑!

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