※痛い感じです
※さらに救いがないです。。








彼は、
僕を、
嫌いだと言った。





それは薄々感じていながらも考えないようにしていた一番恐ろしいことで、
言われた瞬間に涙が出てきて止まらなかった。
下半身だけ脱がされたみっともない格好のまま、
視界がぼやけて動けない。
見下ろしていた彼はいつの間にかいなくなっていて、
体や床をタオルで拭いて後始末をしている自分が惨めで、
もうこんなことはしたくないと、心から思った。



それでも彼を拒むことなんてできない。
それからは腕を掴まれるのもキスをされるのも、
もちろんそれ以上も恐怖でしかなくて、
彼が僕を憎んでこんなことをするんだと思うとあまりに悲しい。
泣きたくないのに自然に涙が出て、


「目が腫れるから泣くなよ」


その命令にだけは、一度も、従えていない。



雨が降る





雨が降って、
彼女達が帰り支度をすると、僕の携帯に彼からのメールが届く。
 まだ帰るな
と。


また、始まる。








「あぐ、うっ・・・!」

後ろから突き入れられた状態で彼が強く腕を引く。
僕が痛い、と感じる度に跳ねる体を見るのが楽しいからと。


「痛いか?古泉」
「い、痛いですっ」
「そうか」
「あ、や、やだ・・・!ああっ」


肩が外れそうなくらい強く引かれる。
唯一自由でいることを許されている左手で床に爪を立てて耐えようとしても、
何の役にも立たなくて、
彼は容赦なくさらに力を込めて腕を引く。


「あああああ、や、やめて!痛い・・・!」




どうして、
どうしてこんなに、
そう、
僕は理由を知ってる、
彼は僕が嫌いなんだ。



「うるさい、黙ってろ」
「む、り、です、あうっ!」


奥まで一気に貫かれ、二箇所に与えられる痛みのどちらもが、
僕の頭までも犯してくる。



「古泉、気、失うなよ」


耐えられず途絶えそうになる意識は、
彼からの言葉でそれすら許されない。


「う、うっ、い、たい・・・!いたい、いたい、痛いですっ!」
「このくらいか」


彼の動きが早まる。
僕の声も自然と上がる。
こんな姿を見るのが、いいんですか。
あなたは、こんな僕で興奮できるんですか。
それとも、僕に屈辱を味わせるためだけに、こんなことを?



「あうっ・・・!」


体内にどろりと暖かい液体が入ってくる。
これで、今日は、終わりだ。終わりの、はず、



「あ、えっ!?」


引き抜かれたそこに、引かれていた腕が導かれる。
ぬるぬるとした場所に指を当てさせられ、

「や、やだ」


指を引くともう一度同じようにされる。
あなたは、何を。


「自分で出せよ、もう一回やるから」
「!!」



や、だ。
嫌だ、そんなの。



「やれって」


その声音は、抗うことを許さない。
彼が見てる前でそんなことをするなんて、絶対に、嫌なのに。


学校でこういうことがあると、一人でトイレに行く。
生徒は大抵下校しているけど、それでも声なんて出せない。
唇を噛みながら自分の指でひらいて、
自分の指を差し入れるのは、
狂いそうになるくらい恥ずかしくて、
惨めで、苦しい。





それを、あなたの、目の前で?


「早くしろ」


イヤだ、イヤだ、嫌だ。


「古泉!」
「やあああっ」


また腕を引かれる。
痛い、痛い、壊れる・・・!


「やめてください・・・腕、外れて、しまいます・・!」
「痛いなら言うこと聞けよ」
「そ、それだけは、いやですっ・・・」
「お前な・・・」
「あぐっ!」



頭、殴らないで。
殴るなんて、やめて。
苦しい。
彼に嫌われるのが苦しい。
彼に憎まれるのが苦しい。
全ての行為でそれを体感してしまう。
僕は、あなたのことが。



「やれ」



くらくらする。
もう抵抗は許されない。
指をゆっくりとあてがって、侵入させていくと、
ぬめった彼の体液のせいですんなりと中に入った。
見られていると思うと恥ずかしい、どころではなくて、
殴られるほうがまだましだとすら、言える。
それでももう、やめるのは、不可能だ。



「すごい格好してるな、お前」


彼は僕を傷つけるのが好きだ。
体も心も。
ひどいことばかり言う、それがどれだけ、僕を苦しめるかも分かっていて。


「うっ、ぐ・・・あう、あっ」


目を閉じて必死に耐える。
中をぐりぐりとかき回して流し出して、
ただただ、早く終わって欲しいと、願う。






その瞬間に、
カシャ、と、
機械音が響いて、僕が慌てて振り向くと、
受け入れがたい現実が待っていた。


「記念」


携帯電話を向けながら、こちらに笑いかけている彼が。


指を引き抜いて、濡れたままの手で必死に嗚咽を堪えた。
ひどい。あまりに、ひどい。
どうして、
どうして彼はここまで僕を憎むんだろう、
僕はあなたを憎いと思ったことなんて、
ただの一度もないのに。


「うっ・・・っく・・・」


また音が鳴る。
それが呪縛だとでもいうのか、僕は動けない。
あまりに深い絶望で、体に動けと指示を出すのを忘れてしまった。



「ひ、どい、ですっ・・・!」




何も声には出さず、腰にまた、手をあててくる。
ひどいなんて百も承知なんだ。



「は、あっ・・・」



また彼が入ってくる。
今度は、緩やかに。


「は、うっ、あ、あっ」


先程までの強引なやり方とは違う。
ゆっくりと出し入れされると、その行為の差で、
まるでこっちは、
僕を大切にしてくれているかのように思えて、


「ん、んうっ、ふあっ・・・」



体が一気に熱くなる。
彼は右手を動かして前に触れ、焦らすように、撫でる。


「あっ!あうっ、んんっ、ああ」



耳も首筋も優しく舐められてたまらない気持ちになる。
だめだ、そんな、さっきまでのことを、
忘れちゃだめだ。
あんなにひどいことをされたのに、
これだけのことで、どうして熱くなるのか、分からない。


「なあ・・・まだイくなよ、古泉」
「は、あ、は、いっ」


穏やかな後ろからの刺激と耳への囁きと首へのキス、
それにあわせて優しく上下に動く彼の手。
滲んだ体液が彼の指に絡んで、より一層刺激が増す。



「や、や、やああっ・・・がま、ん、できませんっ・・・」
「我慢しろ」
「あくっ、うううっ、やっ」



我慢しないと。
我慢しないと。
彼の言うことに従わないといつも恐ろしい罰が待っている。


「だいぶ我慢できるようになってきたじゃないか」




何度も何度もされていること。
慣れてきたわけじゃない、
だけど少しずつ、我慢できるようになった。
怖いから。
この後されることが。



「古泉・・・」
「ふ、ぁっ・・・!」


耳を舐められるより耳元で囁かれる方が、つらい。
つい上げてしまった声で彼がそれに気付く。


「なあ・・・古泉」
「あ、あっ、あうっ」


「好きだぜ、古泉」
「!!!」
「好きだ」





あ、
あ、
あ、やだ、




「は、あ、ああうっ、あああ、あぁぁ」
「すごく好きだ」



やめ、
や、めて。



「あ、あ、や、い、くっ・・・!」




す、き、





「あああぁぁっ!」



全身が硬直して、床にぼたぼたと流れ落ちる。
白くて、どろどろとした、液体が。
あまりの快楽で何度も体が震える。
一瞬意識を失って、床に落ちそうになった頭を彼が掴んだことで持ち直した。





好き、
好き、って、
彼が、そう言った。



「っ、うっ・・・」



また涙が止まらなくなる。
多分僕が達したときに彼もそうしたようで、
引き抜かれたときに床に涙と一緒に精液が落ちた。



「は、あぅっ・・・」



荒い息を整えようとしてもうまくできない。
きっと今の僕はすごく情けない顔で泣いているんだろう。
今なら、
ずっと、
言えなかったことが言える。
言ってはいけないと思っていたことを。



「ぼ、くっ、僕も・・・」



あなたが、あなたのことが、本当は、ずっと、ずっと、
こんなことをされても、
どんなにひどいことをされても・・・



「あなたが、」


あなたが、







「古泉、さっさと後始末するぞ」
「・・・え?」



「あぐっ!!」


突然指が三本、奥まで、入って、くる。


「い、い、い、いや・・・!」


苦しいっ・・・!!


「ひっ・・・・」


頭を掴んでいた方の腕に力が加わり、
頭が強く床に打ち付けられる。
驚きと、激痛で、声も出ない。
そしてすぐに手が首に回り、そこに、彼が体重をかけてきた。




息が出来ない。
何が、起きた?
どうして、
どうして。


好き、って、あなたが、








「古泉、俺はさ、お前の体は好きだぞ」



何も、喋ることができない。

きっとそれは、首を絞められていなくたって、同じだ。




「でもな、お前のことなんか、嫌いだ」




手が離れる。首から離れる。なのに、息が出来ない。
目を、開いているのに、何も、見えない。
ずっと降っている外の雨の音が、聞こえない。


「なあ、聞いてるか?古泉」


それなのに彼の声だけが耳に頭に響いてくる。
聞きたく、ないのに、そんな言葉は。



「俺はお前が嫌いだよ」








神に告げたら僕は消えることが出来るんだろうか。
存在なら一番いい、
それが無理なら、僕の意識を、
感情を、
どれか一つだけというのなら、
僕の彼への想いだけでいいから、
今すぐに、消して。





これ以上嫌われるなんて、
もう、耐えられない。



thank you !

なんという救いのなさ!最近のデレ連発からいきなりこれかい・・
最終的にはどこかで救いのある話が好きなんですけどね、
なんでこうなったんでしょう。。
でもたぶんキョンは本当は好きなんですよ。。

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