休日の真昼間から、俺たちはとある海沿いの、ホテルに来ている。
ホテルといったってしがない高校生同士だ、
何十階建てのシティホテルとかそんなものじゃない。
こづかいを少しずつ貯めてやってきた、ラブホテルである。


ここに来た理由は9割以上が好奇心であり、
いつも古泉の家に行くのも悪いなと思ったのが2ミリくらい、
その他はまあ、色々だ。


入るときに必要以上に周りを伺う古泉の頭を小突いて、
ぐいぐいと腕を引いて入ってきた。
フロントは顔を見られずに済むタイプのところを、選んできた。




Hotel






「わ、わ、すごいですね、ベッド、大きいんですね」



部屋に入ってからもいちいち驚いている。
いいからさっさと、座れよ。
お前は雑誌の特集とか見ないのか、
俺はもっとすごいものかと思っていたぜ、全面鏡張りとかな。



「テレビも、大きいですよ、あの、何か、見ます?」
「AVでも見る気か」
「えっ、え、え、み、見ないですよ!!」



反応がでかすぎだ。緊張しすぎだ。
俺だってさすがにこんな大画面では見たくない。
それにそんなことをするために、来たわけじゃないしな。





ソファにきっちり足を揃えて座る古泉の肩を抱いて引き寄せてみると、体を強張らせた。
ったく、なんでこいつはいつまで経っても、こう緊張しまくりなんだ。
そろそろ慣れてくれてもいい頃じゃないか。



「古泉」



自分から顔を近づけるのは平気なくせに、
俺に近づけられるのはほんと駄目だよなあ、お前。
キスくらいでそんなに睫毛を震わせてどーする。



柔らかな唇、体温は低いのに、いつもここだけは熱い。
変な、奴だよな。
最初は軽く合わせるだけで、だんだんその熱が移ってきて、
舌を伸ばして唇をなぞり、中に入っていく。
俺がいつも目を開けてることには気付くそぶりもなく、
硬く目を閉じて、必死に口を開けようと、舌を伸ばそうとしている様子は、
俺まで熱くする。普段のこいつからは想像の出来ない顔で、
俺が、割と、好きな顔だったりもする。




「っふ・・・あ・・・」



唇を離すと瞼を少しだけ開いて、小さく息を漏らした。
最初はキスをしただけで意識を失ったものだから、
大丈夫かこいつ、とかなり心配になったものだった。
今でも、意識がはっきりしてるとは言いがたいけどな。









「先に、風呂入ろうぜ」
「あ、はい・・・そうです、ね」



ソファから立ち上がったが、古泉はにこやかに座ったままだ。
何やってんだよ、お前も、行くんだぞ。



「は、い?」
「風呂、広いし。二人で入れるだろ」
「い、いえ、いえ、いえ、入れません!!!」



どうしてそうなる・・・
何のためにここに来たと、思ってんだ。
お前んちの風呂はとても二人で入れる広さじゃないし、
俺がちゃんと下調べをしておいたんだぞ。
なんとジャグジー付だ、豪華だろ?




「ふた、二人で入ったら、狭くなってしまいますよ」
「ここまで来て別々に入るほうがおかしいだろ。
 二人で入ったって十分広いぜ」
「でも、でも、それは・・・」
「お前は今更何を恥ずかしがってんだ。
 お前の体で見てないところなんてないぞー」
「そ、そうゆう問題では、なくて、ですね・・」




全く、何を照れる必要があるんだか。
どうせ強引に手を引けば、嫌がっていてもついてくる。
さっさと服を脱ぐ俺とは対照的に、
古泉はもたもたとボタンを外している、さっさとしろ。



「はずかしい、です・・・」



頬を染めて最後の一枚を脱ぐのをためらってる古泉をとりあえず放置、
俺は貯めていた浴槽に、洗面台にあった入浴剤を入れて、
ジャグジーのスイッチを入れてみた。
するとたちまち泡風呂になり、さらには浴室の電気が消えて
風呂の中だけがピンクに光るという演出が織り成され、
やや毒気に押されながらも、


「おい、電気消えたぞ。これなら恥ずかしくないだろ」


そう伝えることにより、古泉をこちらに来させることが出来た。




「なんだか、すごいお風呂ですね」
「だな」
「先に、シャワー、どうぞ」
「洗ってやるよ」




後ずさりするな。
別に、いつもと同じじゃないか。体なんて。
場所を変えただけでそこまで気分、変わるか?
ああでもお前は、いつもお前の家でも、
脱がすときは泣きそうなくらい真っ赤になるんだっけな。



古泉の体は細い。そして、白い。
こんな体であんなにでかい化け物と戦ってるのかと思うと、
大丈夫かよと心配になるくらいだ。
制服を着ていれば、分かりにくいけど、脱がすと分かる。
知ってるのは、俺くらいだろうが。




甘ったるい匂いのボディソープを泡立てて、
椅子に座った古泉のその細い体を擦っていく。
耳まで赤くして、俯いて、腕に力を入れて伸ばしているものだから、
腕が洗いにくい。隠さなくてもいいぞ、別に、わかってるし。



「いつも反応いいよなあ、お前は」
「だから、嫌だったんです・・・」
「別に、嫌じゃないだろ」
「恥ずかしいです・・・」
「気にしすぎだ」



タオルを渡して、後ろからじゃ届かない足は自分で洗わせつつ、
泡がついたままの手をのばして、胸に触れてみる。
予想通り、びくんと体を跳ねさせて、真っ赤な顔で振り向いた。



「な、なに、ん、んんうっ」



そのままその顔に、口付けて、体を撫でる。
タオルが洗面器の中に、落ちる音がした。


「ふっ、あ・・・!やっ、あ、だ、めっ・・・」




一度興味を持って、古泉にやってもらったことがあるが、
俺自身は全く胸は感じない。というか、くすぐったくて、
笑いが止まらなくなった。
だからこいつがどうしてここを触ると目を潤ませるほど
感じてしまうのかは、よく分からない。
ただまあ、うらやましいような気もするし、
やってやるのは楽しいから、いいと思う。
舐めたい、けど、今は、無理だな。泡、ついてるし。
後にとっておくか。



「お前、1回、出したほうがいいかもな」
「あ、う、あっ、そんな、こと、」
「大丈夫だ、お前、感度いいから」
「ふあ、あ、あああうっ・・・!」



座らせたまま後ろから触ってやれば、すぐに声を上げて、
目をぎゅっと瞑り出す。鏡があるから、その様子が分かる。



「目、開けてろよ」
「ふ、えっ・・・?」
「お前、いつも、こんな顔してるんだぞ」



真っ赤になって、こんな、顔で。


古泉は少しだけ鏡を見て、すぐにまた目を閉じた。
そりゃ、恥ずかしいよな。
でも、俺は好きだ、お前のこうゆう時の顔。
すごく、好きだ。
今まで見た誰よりもかわいいとか、思ってしまうくらいだ。



泡のせいでぬるぬるとして動かしやすくて、
古泉はあっという間に昇り詰めていって、
どうしようもなく気持ちの良さそうな顔で、出した。






なんだ、俺は、こんなことが永遠に続くとは思っていないが、
古泉が異性を相手に出来るとは、とても思えない。
いざとなりゃこいつも出来るのかもしれんが、
こんな顔、見せられないだろ。明らかに、俺用だろ、これは。
ということは、ずっと、面倒を見るべきなんだろうか。

まあ、それでもいいか。




「あ、う、うっ・・・」



余韻で声を漏らしながら息を吐いている古泉を見つつも、
さっさと俺も体を洗ってしまい、立ち上がらせて湯船へ先導した。
ジャグジー、すごいな。泡があふれてきてる。
泡風呂なんて始めて入るけど、古泉の体が、見えないじゃないか。
面白いかと思ったけど、そうでもない。



「少し、落ち着けよ」
「はい、はい・・・だいじょうぶ、です」



浴槽は二人で向かい合って入るとちょうどいいくらいの大きさで、
古泉は少し惚けた顔で泡をすくっては眺めている。
面白いか?それ。お前には似合うかも、しれない。
ハルヒの前では気を遣いすぎなお前だから、
こんな風にぼんやりと何かを眺めているような顔なんて、
俺の前でしか見せないよな。・・・見せて、ないよな。な。



「こっち来い、古泉」
「はいっ・・・あ、」



腰を抱えて、上に乗るようにしてやると、
また顔を赤くして、首の後ろに手を回した。
赤いのは、この浴槽のピンクのライトのせいか?
というわけでも、ないだろう。
こうして向かい合って抱き締めていると、
古泉の鼓動が聞こえてきそうだ。
相当早いんだろ、笑えるくらいに。



けど俺だって、こいつのことは、言えない。
余裕があるように思われてるかもしれないが、
いつも余裕なんざ全くないし、
今だってうるさいほどに、心臓の音が耳に響いてる。
たぶん顔だって、赤いんだ。
こいつの前では、大きく見せたいし、
何せこいつはこんなんだから、俺がなんとかしてやらないと、
どうしようもないから、頑張るけどな。





ぴたりと体が密着するように抱きしめると、
当然、あれが当たるわけだが、
そのたびに古泉は動いて、当たらないように気を遣っている。
ん、気を、遣われてるのか、これは?
逆に動かれると擦れて、ちょっと、困るんだが・・・
いちいち、意識しないでくれ。こんなの、当たり前じゃないか。




「あーーー・・・・」
「ど、どう、しました?」
「すげー、やりたくなってきた」
「!!!!!!」



分かるだろ、言わなくても。
なんでそんなに驚くんだよ。目、でかいな。
もう少し、バスタイムとやらを楽しみたかったんだが、
古泉の体も見えないし、抱きあうなら風呂じゃなくてもいい、
むしろ風呂じゃない方がいい。
泡なんてあったら、何もできない。



「出ようぜ」
「は、はあ・・・・・」






さっさとシャワーで泡を流して古泉の腕を引き、
勢い良くベッドに転がしてみた。
でかい上に、ふかふかだ。いいベッド使ってるな、ここ。
なんてことは古泉は考える余裕もないらしく、
俺に組み敷かれたまま、バスタオルの端を掴み、
潤んだ瞳で、こちらを見上げている。



かわいいな、お前、本当に、かわいいな。



もう一度、キスをして、口の中を全部、舐めていく。
古泉の味、好きだ、もう、どこを舐めたって、
俺の好きな味しかない。




「あう、あ、や、あっ・・・そんな、舐めない、で・・・」



いつも、言われてるな、これ。
俺がやりすぎなのか、古泉の耐久性がないのかは、わからん。


さて、こっちも、





「・・・・・む?」
「ん、うっ・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「な、なんですか、そんな、神妙な顔でっ」




また、キスだけで臨戦態勢の古泉だが、
それでもとことん焦らしてやろうと舌をつけたときだった。




泡、つけすぎたのか、さっき。失態だ。





「古泉の味がしない・・・・」



なんてことだ。
石鹸の味と匂いしかしない。
風呂なんか後にすればよかった。
いつも、シャワーなど浴びさせる前にやってたから、
気付かなかった。
最初はシャワーを浴びていた気もするが、
あれの記憶はあまりない。衝撃的過ぎて。




「あな、たは、何を言って・・・!!」
「重要だろ、そこは」
「じゅ、じゅ、重要じゃありません!」
「そりゃお前はいいかもしれないけどな、
 俺にとっては重要なんだよ。あー、くそ」
「よく、わかりません」



仕方ない。
少しモチベーションは下がるが、仕方ない。
舐められないなら、ローションを使うしかないか。






たっぷり手にとってそのまま濡らして上下に動かすと、
シーツを掴んで気持ちの良さそうな声を上げる。



「古泉、どっちがいい?」
「うあ、あっ、ど、っち?」
「こうされるのと、俺が口でするのと」
「そ、んなっ・・・ああ、あううっ・・・!」




そんな恥ずかしい質問には答えられない、か?
俺はお前が恥ずかしそうにしてるのがたまらなく好きなんだ。
もっと、そうさせたくなる。
だから、答えろ。




「ど、どっち、も、あ、んうっ」
「駄目だ、その回答は却下」
「うううっ・・・で、も、ああっ」
「ほら、言え」
「あ、ああっ、ん、・・・く、口・・・あう」




古泉のことだから、
俺に気を遣ってるのかもしれないが、それを聞ければ満足だ。
今度はちゃんと、やってやろう。





ちょっと、焦らしすぎたな。
指を入れると、きゅううと締め付けてはくるが、
古泉の顔を見ていれば、痛くないことは分かる。
最初は痛がっていたけど、今はもう平気だ。
インターネットで調べると、気持ちよくなるまで数年かかる場合もあるらしいが
(恐らく俺だってそうだろう、やろうとも思わない)
古泉は割とすぐ、良くなった。素質か。
ということはやっぱりお前は、
俺とやるために生きてるのか。
しょうがないな、ほんとに。




「もうちょっと、力抜け」
「はっ、はい、すみ、ませんっ・・・」
「ゆっくりでいいから」
「あ、あっ、あ、き、きもち、いいですっ」
「そうか」




ま、お前が気持ちいいなら、いいよ。




「入れるぞ、息吐け」
「はっ、は、いっ・・・・」



古泉にとっては辛いと思うが、入れるときだけは、
両足を思い切り持ち上げて、正常位でやらせてもらう。
かなりの圧迫感があるらしいし、入れにくいんだが、
顔を見たいから、そうするしかない。
最初に入れるときの顔が、最高なんだ。
いや、イくときの顔も、最高なんだが、
どっちがいいかと聞かれると、困る。
人生最後の瞬間にどっちを見たいかと言われると、
迷うな。今のうちに、考えておいた方がいいか?






「あっ、あ、あああ、あーっ・・・!!」


というくだらないことでも考えていないと、
古泉の中は気持ちが良すぎて、耐えられないんだ。



「ああ・・・かわいいな、お前、声、我慢するなよ」
「あうう、う、んん、はっ、あ・・・あああっ・・・」



ああ、目、閉じるな、ちゃんと俺を見てろ。
その顔、その目、開けてたほうが、いいんだ、
いやでも、目が合うと、俺も、我慢できなくなる、か。





何回もやってきたけど、
それでも、
毎回、お前が好きだと再認識する。
俺、こんなに好きだったっけ、
そう、毎回思ってる気がする。






「ああっ、き、きもち、いいっ・・・!!」
「こ、い、ずみ、好きだ、好きだ、好きだ」
「ぼく、ぼくもっ、ぼくも・・・あ、あうっ!」
「すきだ、こいずみ、っう・・、い、きそ」
「ぼく、も・・・も、いっちゃい、ますっ・・・!」




直前に抜いて、代わりに指を入れてやって、
古泉がイくのを見ながら、俺も、古泉の腹の上に、落とした。
白い肌の上に、それよりも白い体液が、
二人分もかかってる様子は、なんともいえない。
中には出さない、
それだけは守ってる。後処理が、辛いらしいからな。
それでも毎度、中に出したい衝動には駆られるが。
まだ古泉の許可を得られてないので、今度、頼んでみよう。







「大丈夫か?」
「はい、もう、平気、です」


古泉だけもう一度シャワーを軽く浴びて、お互い、着替えを済ませた。
帰る時間までは服を着たまま、ベッドの上でキスだけ、する。
一度抱いてしまえば、古泉の気も緩んで、
キスくらいなら、意識が飛んでいくことはない。
これが数時間経ってしまうと、また元通りだ。



「たまには、ホテルもいいな」
「は、はい・・・一緒に、お風呂、嬉しかったです」




・・・また小遣い貯めるか。




ベッドがでかくてやりやすいこと、
古泉の声がいつもよりも多めであったこと、
ベッドの軋む音などを気にせずにすむこと、
風呂に二人で入れることを古泉が喜んだこと、
などなど、
案外、ホテルに来る利点は、あるようだ。






ただ、風呂に入るのは、これからは、後で。
だけだ、な。





thank you !

キョンは古泉舐めるのが大好きならいい、更に獣っぽければいいじゃない!と
思って書いたらただの変態くさい人になってしまった・・・

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