高校生だし。
若い、し。
いろんなことを試してみたくなって、
それで俺には古泉というやたらと従順な相手がいる。


あの後何度か薬を使ってみたが一度も俺を疑ったり問いただすこともせずに、
ただただ謝るばかりだ。
いつもはこんなじゃないのに、
ごめんなさい、ごめんなさい、
僕を嫌いにならないでと、
快楽に体を震わせながら涙を零して耳元で懇願してくる。
悪いのは俺の方で、古泉を嫌いになる理由なんかは一つもないし、
さすがに連日やったときにはぼろぼろと泣いてしまい、
胸の奥が痛んだ。たぶん、罪悪感のようなもので。



いくら古泉相手でもやりすぎはまずいよな、
そう反省して、
泣かせないようにしてきたはずなのに、




『ちょっとキョン、聞いてる!?』
「あ・・・ああ、聞いてる」



手には携帯電話。
耳に聞こえてくるのはハルヒの声。
俺から、ハルヒにかけたんだから、当たり前だ。
そして目の前には、


「ん、む・・・」




口を塞がれて腕も縛られて、
足の間に、・・・俺の足を押し当てられて、
真っ赤な顔で羞恥に耐えている、
古泉がいる。




何やってんだ、俺。




ビトレイ





『でね、みくるちゃんったらあたしが言った途端、空を飛んだみたいに・・・』



俺からハルヒに電話をかけることはそうそうないわけで、
『何よいきなり』と不審がるこいつに、
「いや。暇だから声聞こうかと」とたまに古泉に言う台詞を言ってみると、
機嫌を良くしたようで一方的に話し始めた。
楽でいい、それに、これを願っていたんだから。



そうだ。
また今日は薬を飲ませて、
結構久しぶりだと思う、
そして今日はやけに古泉を泣かせたいというのか、
苛めたいというのか、
つまりはいつも以上に欲情してしまっていて、
こんなことになってしまったんだった。





散々口の中をぐちゃぐちゃに熱くして、服を着たままあらゆるところを撫でて弄って、
古泉の目も口も体も早く、早くと言っているのが分かるくらいに興奮させてやってから、

力の抜けている腕を掴んでその辺に投げっぱなしになっていたネクタイで
強めに縛り上げた。縛る、ってのは初めての行為だから勝手が分からず、
強すぎたかもしれない。
すぐに口も塞いだが痛いと訴えていたのは分かった。
けど、途中で解けたら意味がないからな。


口を塞いだ後はさすがに戸惑いを隠さずに理由を問いかけるような瞳を向けてきた。
座った状態から立ち上がろうと体を揺らしたから、



「やりたいんだろ?おとなしく座ってろ」


いつもよりも乱暴な言い方で囁いたら、
びくりと肩を震わせて怯えた表情に変わった。
見た瞬間に背筋がぞくぞくとしてきて、
俺は古泉のこの表情が好きだと思った。
もっと見たい、と。



俺が何かしてほしいと頼めば何でもするし、
我慢しろと言えばどんなことだって我慢する。
常に俺を全力で信頼して全力で想っている。



そんな古泉を急に、裏切りたくなった。



そんな簡単に俺を信じるなよ、
俺はもっとお前に色んなことを試したいと思ってるんだぜ、
普通なら耐えられないようなことだって考えてる、
今まではブレーキをかけていただけだ。
一度外したら、もう止められない。



小さく震えてこちらを見る古泉には声をかけずにハルヒに電話をした。
すっかり反応しちまってる場所を足の指で触りながら。


「ん、ん、んうっ」
「黙ってろ、ハルヒに聞こえるぞ」
「・・・!ん、んーっ・・・!」


繋がるまでは必死にタオルの奥で抗議していたが、
繋がったとたんにその声を殺した。
やれば出来るじゃないか。




跪いたままの古泉に、俺は立ち上がってハルヒと話しながら体重をかける。
そこに当たる、右足に。



床に零れ落ちるくらい涙を一気に流して、古泉は首を振る。
そんな様子を見ても、俺の興奮は高まるばかりだ。
声を上げないようにタオルを噛む口元を見ながら、足に力をこめてぐりぐりと押していく。
喉から小さな悲鳴が何度も聞こえた。
そのたびに体を強ばらせて声を出さないように飲み込む。
見ているだけで、こっちの呼吸まで熱くなる。



『次の映画のコンセプトはこれで決まりねっ!』
「ああ、そうだな」


ハルヒの話なんか何も入ってこない。
とんでもないコンセプトに決まってまた醜態を晒すことになろうとも、
今はどうだっていい。





逃げようとする古泉を押し倒して両足を押さえるように跨り、
片手でベルトとチャックを外してやる。
背の下にある腕が痛そうだし辛そうだ、
だけど薬のせいでここはそのままだ。


直接触れて擦ればすぐに先端が滲んでくる。



「う、うっ・・・!」
『何?なんか聞こえたけど』
「そうか?気のせいだろ」


手を動かしたまま、携帯を古泉の傍まで持っていく。
唾液や涙でだいぶ水気を含んだタオルを強く噛んで、
目からは止めどない涙が流れて、
首を振る力はもうほとんど残っていない。



「ハルヒ、ちょっとそのまま待っててくれ、
 何か届いたらしいから玄関に行ってくる。すぐに戻るから」
『いいわよ』



ややうわずった声だったが気付かれることはなかった。
古泉の耳元に通話状態のまま置いて、
目を丸くして驚く顔を見てから、
傍らに置いていたローションをたっぷり手に取って古泉の体に塗り付ける。
力を入れて擦ってもこのくらい濡らして、
このくらい古泉が興奮していれば問題ないはずだ。



「――――っ!!!」



がくん、と大きく体が跳ねて、頭と床がぶつかる音が響く。



『キョン?』



聞こえてくる問いかけに、古泉は再度体に力を込める。



どこまで我慢できる?そのままで。
擦る手とは逆の、右手の指でローションをすくって、
すっかり熱くなっているところに少し強引に入れていく。
がくがくと震えが大きくなってきて、そろそろ我慢できる限界が近いと分かりながらも、
指で押すだけでいつも甘い声をあげる場所を強く刺激してやった。



「んううう、んんーっ!!」



古泉が耐えきれず声をあげた少し前に、
俺の携帯電話の電池が切れた。
多分、聞こえてはいないだろう。
どっちが先か、勝負は五分五分くらいだなと思っていたが、よく頑張ったもんだ。



そのまま指を増やして刺激を強くすればあっという間に射精して、
泣き顔も益々悲惨になっていく。
それでも熱さを保ち続けるそこに、余韻も冷めぬ内に入り込んで、
号泣する古泉を見下ろしながら強く奥まで入れて、
古泉が傷つくであろう言葉ばかりを浴びせた。


その目が悲しみと苦痛で歪むたびに異様なほど興奮する。
今までの行為よりも気持ちいい、
これを知ってしまったら普通の抱き方じゃ物足りなくなってしまうんじゃないかと、
少し怖いくらいだ。




いつもは嫌がることだが今日は古泉に聞きもせずに中に出して、そのまま二回、続けた。
体は問題なく俺を受け入れていたから、痛くはなかっただろう。
それでも気持ちよくも、なかったかもしれない。





満足してから拘束を解くと、腕は真っ赤に腫れていて血が滲んでいた。
唇も赤くなって、唾液が顎まで垂れているが、
放心状態になっていて拭おうとすらしていない。


「だらしないな、お前」


タオルで口元やいまだに涙が流れる目を拭いてやると、


「すみ、ません」



消え入りそうな声で謝った。
やっぱりな。


俺を責めるところだろ、ここは。
お前が謝ってどうするんだよ。
やりやすいな、全く。



乱れた髪を手で梳いてそのまま撫でているとまた涙が溢れだした。
震える両手で口を押さえているが堪えきれない嗚咽が漏れてくる。



「古泉」
「っ・・・ごめ、なさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・!」



これは、少し、気の毒になってきたな・・・さすがに。
繰り返し謝る古泉を抱き締めて、背中を軽く叩いてやった。
いつもなら抱き締めれば喜んで回してくる腕を、動かそうともしていない。



いつまでも震えたまま泣き続ける古泉を腕に中に感じながら、
悪いとは思いつつも俺はつい眠ってしまい、




夢の中に出てきた古泉が笑っていたから少し安心して、そのまま深い眠りについた。





起きたときには古泉も既に朝食の準備をしていて、いいにおいがする。
昨日やりすぎたせいか腰がだるい。ややふらつきながら古泉に近寄って、
普段どおりに後ろから抱きしめると、
びくんと大きく反応して持っていた包丁を床に落とした。


「危ない、何やってんだよ」
「あ、ご、ごめんなさい、ごめんなさい、お、おはよ、ございます」



すぐに拾ったがなかなか立ち上がらない。
腕を引いて見ると目に涙を溜めていた。
周りも腫れて、何度も拭ったせいかただれている。


「大丈夫か・・・その、目」
「はい、へいき、・・・です」



よく見ればいつもは見た目もうまそうな朝食が、
今日はパンが焦げていたり目玉焼きも完熟すぎたりとあまりよくない。
これは、
全部昨夜のあれのせい、だよな。どう考えても。



古泉が何も言わないから俺も話が出来ず、
会話もないまま朝食を終えて、
さてどうするかと考え始めると、古泉が小さく息を吸ってから呟いた。



「ぼく、僕の、こと、き、嫌いに、なったんでしょうか」



なってないよ。



「何で?」
「・・・か、らだが、変、だからっ・・・」



それは、
昨日俺が、お前に言ったんだっけ?




「僕、あんな、つもりでは、なくて・・・あな、あなたと、
 したいから、好きだって、言ったわけじゃ、なくって・・・」



それも、言った記憶があるな。
やりたいから付き合ってるんだろうとか、
そんな、ことを。



「嫌われたく、ないです、もう、あんなふうにならないから、
 ・・・ひどいこと、しないで、くださ・・・」




あんなことを言われても、されても、そんなことを言えるのか。
俺はたぶんまたお前をおかしくするだろうし、
ひどいことだってするし言うだろう。
お前はそのたびに傷ついて苦しくなる。
それでも俺が好きだって、いつまで言ってられるんだ?


「ひ、あっ・・・!!」



また強く床に押し倒して、強引に手を入れていく。
我慢しろよ、今度は薬なんか、使わない。



「や、やめ、て・・・!」
「静かにしてろ、お前の相手が出来るのなんて俺くらいなんだから」
「・・・・・・!」
「嫌われないように頑張れよ」
「・・・っく・・・う、ううっ」




泣いてる顔も好きだ。
お前のこと、俺だって本気で、好きなんだ。
嫌うなんてありえないから、何をされたって好きでいろ。



それに俺はずっとお前を離すつもりなんかないから、覚悟しておけ。





thank you !

乙女古泉話を書いていたはずが・・・痛い方向に・・・ホワイ、なぜ?
足コ(略)を書きたかったんです・・・あと古泉に謝らせるのと、
「嫌いにならないで」と言わせるのが好きです・・(平謝)

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