家族計画(前)




俺の言わんとすることが分からないだろうか、
的確な本を無言で差し出してくれるのではと、
ハルヒが古泉にムチャを頼んでいる間に長門をじっと見つめた。
が、長門は数ミリ首を傾げただけで分からなかったらしい。
当たり前か。読心術があるわけじゃないもんな。



「キョンくん、難しい顔してますけど、大丈夫ですかあ・・・?」

熱々のお茶を差し出してくださる朝比奈さんのお顔を心配でゆがめてしまうほど、
俺は難しそうな表情をしていたらしい。
だが事態は深刻だ。
大丈夫ですよと言ったものの笑顔は我ながらかなりぎこちない。



手元にはインターネットに繋がったパソコンがあるが、
何かを調べるには最適のツールではあるが、
こんなほかのメンバーがいる危険極まりない状況では調べようがない。
なにせ検索するとしたら「男同士 やる 方法」とかだろ?
そんなものは誰に見られても大問題だ。
よって調べられない。




バカ古泉、ハルヒ相手にそんな緩みすぎの笑顔を見せるんじゃない。
お前絶対分かってないだろ、方法も何も調べる気すらないだろ。
勘で出来るものじゃないぞ。
逆に実は全部知っていて俺がリードされたりしたらそれはそれで腹が立つな。
じゃあいい、何も知らなくていい。





古泉がいつも以上に機嫌を取り、
ハルヒが満面の笑顔で「さっすが古泉くん!」と言った後に本日の活動は終わりを告げられた。
すぐには帰らんぞ。
お前みたいにやりたくてしょうがないわけじゃないんだ、
やりましたよ早く会議が終わりましたとでも言いたげに頬を赤くしてウインクを飛ばしてくるな、
かわい・・・くなんかないぞ、断じてそんなことはない!



「帰るぞ、古泉」
「はいっ!」



放っておいたら益々アプローチしてくるに違いない、
こいつの思い通りみたいで悔しいがそう言うしかなかった。





早足で帰り道の下り坂を降りていく、
古泉は嬉しそうに小走りでついてくる。
振り向いてその顔を見なくても嬉しそうな様子が伝わってくるのはどうなんだ。
俺の不安も知らずに気楽なものだぜ。




途中で飲み物と菓子でも買うかとコンビニに寄った際、
雑誌コーナー対面に設置されていた日用雑貨、
タオルやら歯ブラシやら普段はさほど目に付かないその一帯が
今日だけいやに存在感を感じさせた。


長方形の箱。
明るい家族計画?何なんだ全く。
こんなものは必要ない、ないはずだ、
古泉は男なんだから。
いやしかし俺の心情的な問題も発生しないか。
生身でこ、こい、古泉の体内に、




「・・・・・・」



見つめたまま体が固まる。
手に汗が滲む。
まずくないかそれ。
買うべきなのか。
男二人でコンビニに来て買う代物かこれは。



「新発売のチョコがありました!」
「わ!!!」



相変わらず軽快な足取りで後ろから声をかけてくる古泉に心底驚き、


「どうしたんですか?」


きょとんと長い睫毛を揺らしてまばたきをしながら言うこいつを
殴りそうになりながらもなんとか堪え、
結局明るいなんとやらを買うことはなくチョコとコーラだけを手にコンビニを後にした。
後ろ髪を引かれるような思いになったがあんなものに引かれる髪などない、
自分に必死に言い聞かせているうちに俺は靴を脱いで古泉の部屋のベッドに腰掛けていた。






コーラをコップに入れてテーブルに置いて、
まずは一息と思っていたが、口にはコーラより先に古泉の味が広がることになった。
横にぴたりとくっつくようにいやしっかり密着して座って唇も触れる。
早い、早いぞ古泉、早急すぎる。
普段の冷静沈着な副団長はどこに行ったんだ。
戻ってこい古泉。



「大好きです」



文句の一つも言おうか、言って空気を元に戻そうかという思いは、
甘い響きをもつその言葉にかき消された。
言われた瞬間に胸の奥が熱くなって、
体の中から指の先まで血が流れていくような感覚が、
そして目の前にいるこいつを強く抱きしめて離したくないとかもっと近くにいきたい、
良くしてやりたいといった、
理解しがたい感情に溢れてくる。



「は、あっ・・・」


唇を舐めて、べちゃべちゃになるまで舐めて、
開いた先にある真っ赤な舌に絡みつく。
ベッドに押し付けて奥まで舐めながら、ブレザーのボタンを外す。
こいつはネクタイもシャツもしっかりきっちり着てるからいつもやりにくいんだ。
お前らしくて別に悪くはないから俺が手早く脱がせられるようにしないとな。
しないと?
ああそうだよ、どうせこれから何度もやることになるんだ、
ありえないことなんか何もないんだこの世には。
俺はすっかり古泉に欲情しちまってる、この際だから認めよう。



シャツのボタンもやや手こずりながら全部外して、
中に着ていたTシャツもろとも全て脱がせた。
これが男の体なのかと目を疑うような白い滑らかな肌に指が触れる。
お前は本当に綺麗だな。顔も髪も肌も声もたぶんお前の心ん中も。


こんな奴に惚れられてるなんて忌々しい話だよ。
俺はそんな大層な人間じゃないのに、
なんで俺なんか好きになったんだ。





胸にも舌を滑らせて痛くはないように甘噛みで刺激してやる。
体がびくびくと小さく跳ねて気持ちよさそうに声をあげている。
そんな声を聞いてるだけで、俺は何もされていないのに、
体が疼いてきてたまらない。
大した緊張もなかった、古泉の体に、まだ触れたことのない場所に手を伸ばすのは。
自然と動くものらしい。
すっかり興奮しちまってるな、こいつも。
俺もだって分かってるか?


「んっ、あ」
「古泉・・・」



いつもみたいに押し付けてぐりぐり動かすと泣きそうな顔になる。
俺だって平静を保った表情かと聞かれれば頷く自信はない。



「あ、あ、あっ・・・」
「我慢するの辛いだろ。今、外してやるから」
「はい・・・ありがとう、ございます」



金属音を鳴らして古泉を締めているベルトを外してチャックも下ろす。
そのまま下着ごと思い切って膝くらいまで、脱がせた。


「あ、やだっ・・・恥ずかしいです・・・!」


古泉にもそんな感情があったらしい。
なんだ今更、お前から誘ってきたくせに脱がされたくらいで恥ずかしがってどうする。
俺はどうやら案外、平気らしいぞ。




「ひゃっ・・・!」



先端から滲んでいる液体をすくって親指でくるくると撫でると今までよりも大きく体を揺らす。
その反応が好きだと思ったからそれを何度か見てから、
全体を指で覆ってゆっくり上下に動かした。



「あ、ああーっ・・・!きっ、気持ち、いいですっ・・・!」
「そうか。痛かったら言えよ」
「や、すぐ、すぐ、いっちゃいそう、ですっ」
「別に構わん」





自分以外に触られるなんて初めてだしお前も初めてだろうが、
こんな風に喜ばれるとこっちもうれしいものらしい。
早くいけばいい、俺にその顔を見せてみろ。


「ふあ、あ、だめ、だめですっ」
「古泉、我慢するなよ」
「でも、僕、ばっかりっ・・・」



変な気遣いをするな、
お前の指はどれも布団を握り締めるだけで精一杯じゃないか。



「何も考えなくていいから、力抜け」
「はっ・・・い・・・、す、好き・・・好きですっ・・・」
「うん」
「あ、も、もう、でちゃうっ・・・!」


古泉の声が一際高くなった、そして体も震えてびくんと大きく動いた次の瞬間、
指に暖かい液体が絡みついてきた。
危ない危ない、制服にかかるところだったぜ。
しっかしなんだ、多いな、量。そんなに良かったのか。
てか声我慢しただろお前。
ふざけんな、聞きたかったのに。


「はあ、あうっ・・・・・・」




けど、瞬間の顔は悪くなかった。
普段の立ち居振る舞いからはとても想像出来やしない、
こいつに黄色い声をあげている奴らが知ったらどう思うだろう。
口の端から涎を垂らして赤い舌をちらちらと伸ばしながら声をあげて、
今にも泣きそうな目で俺を見ながらしきりに好きです好きですなんて言って、
達する時ばかりは目をぎゅっと閉じて指にもすげえ力が入ってさらに白くなってて、
真っ赤な顔で体を震わせるわけだ。
これはもうかわいいと思うしかないだろ、
俺じゃなくたって絶対そう思うさ。俺が特別なわけではない。





短い呼吸を繰り返す古泉の体を撫でながら、
今日はこれだけでいいんじゃないかとも思った。
そりゃ俺だって抜きたいが一人でやったっていい。
古泉だって十分気持ちよかっただろうし、わざわざ無茶を、


「あの、僕っ・・・大丈夫ですから、続き・・・してください」




無茶、・・・するか。





「古泉、俺あんまりよく分かってないから、痛いとか辛いとか言えよ」


あんまりどころかさっぱり分からんぞ実際は。


「はい、わかりました」




さて、まずは何だ。
さすがにどこに入れるかくらいは分かる。
しかし普通は指すら入らんだろう。
俺が古泉の立場ならと考えるだけで鳥肌が立って鳥になりそうな勢いなんだが。
んなことを考えていたら先に進まないから古泉の体は特別だ、
こいつはやれる、やれる奴なんだと暗示をかける。
そして古泉自身ので濡れた指で撫でてみた。


「んっ・・・」
「お前・・・これマジで平気なんだろうな」


ビビる、これはビビる。



「平気、です・・・うっ!!」
「わ、悪い」


古泉が息を吐いたときに爪の真ん中くらいまで入れただけで体にかなり力が入り、すぐに抜いた。
無理じゃないかやっぱり。






どうすりゃいいんだ?この先。
全く分からん。
うご、けない。





thank you !

キョンさんガンバレー!(笑ってます)
すみませんこうゆう話大好きです。あっ続きます・・・
うまく書けるか私も不安です(笑)

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