去年は劇的な一年だった。
高校生になる、そんなものに大した希望も抱いていなかったのに、
これが運命というものなのか、俺は涼宮ハルヒに出会い、
そして、
古泉一樹と出会った。



家族公認?




「僕の家では年明けはおせちじゃなくて鍋を囲むんですけど、
 あなたも呼ぶようにと。来られます?」




などと言われたからもちろんと頷き、
鍋よりやや高レベルのすき焼きでも実施しようと思い立ち、
母親に頼んで少し豪華な牛肉を買ってもらい、
新年早々古泉宅を訪問した。



「いらっしゃい、外は寒かったでしょう?さあ、上がって」
「これ、ウチからです」
「あら、いいの?こんなにたくさん・・・悪いわね、ありがとう」




牛肉と、田舎から送られてきた野菜をまとめて渡すと、
古泉似で綺麗な母親は柔らかい笑顔で受け取った。

何度か来ているけど、何度か会っているけど、
ほんとに美人な母親で、いつ見ても感嘆する。
俺のお袋とは少し住んでる世界が違う、いや、
そもそもこの一家は全員、機関に属しているんだった。
違って当然、だな。




「準備が出来るまでどうぞ、僕の部屋に」


駅まで迎えに来て、一緒に白い息を吐きながらここまで歩いた古泉が、
靴を脱いで上がり、俺の前に立って階段へ誘導する。
居間からわざわざ顔を出してくれた親父さんにも会釈をしてから階段を登り、
古泉の部屋へ行く。相変わらず綺麗に整頓されてるな。



「雪が降りそうな空模様ですね」
「寒かったしな」


古泉の部屋は暖かかったけど、コートを脱いでから体を抱き寄せた。
俺なんかよりずいぶんと体が冷たくなっている。




「寒かったのに、あなたは暖かいですね」


にっこりと笑って嬉しそうに言う古泉についつい胸が動かされてしまい、
そのままベッドに押し倒すと、さすがに慌てた顔をして、


「わ、だ、駄目ですよ、両親がいるのに」
「別に、やらないから心配するな」




少しは、暖めてやったほうがいいだろ?風邪を引いたら困るからな。
口付けて舌を伸ばし、口の中から始めて、
古泉の息が上がってきた頃に、足の間に手をやった。



「あ、やだ、だめ、ですっ」
「声出すなよ」



聞かれたら困るよな?俺もお前も。









そんなわけで年始から古泉を良くさせて、
さすがに最後までは出来ず、俺は悶々とした状態のまま夕飯の時間となった。
しまった。
状況は実に興奮するもので、古泉も実にいい顔をしていたが、
これじゃ生殺しじゃないか。



「自業自得です」



あんなに喜んでいたくせに少し怒ったようなふりをして古泉はそう言って、
階段を早足で駆け降りる。






リビングにはすっかり支度の整ったテーブル、
にこやかに椅子に腰掛ける古泉ファミリーの姿があり、


「キョン君、久し振りね。元気だった?」
「お久しぶりです。元気にやってます」
「そう、よかった。一樹ともいつも仲良くしてくれてありがとう」


母親もだがそれ以上に緊張する相手が古泉・姉だ。
海外に住んでいるとかでめったに会うことはないが、
これがまた今までに見たことのないようなどえらい美人で、
背もすらりと高く残念なことに俺は負けている。
初めて会ったのは夏休みで、
俺と古泉の顔を何度か交互に見て、



「ふーん、そうなんだ」


とまるで全てを悟ったかのような笑顔を浮かべられた。
ええと、何が、そう、なんでしょう?
とは、口が裂けても聞けない。




「もう帰ってきてたんですね、もう少し遅くなるのかとばかり」


古泉もうっすらと額に汗を浮かべている、
帰っていると分かっていれば、俺にああされるのを許さなかっただろう。



「一つ早い飛行機にしたのよ。声かけようかと思ったんだけど、二人の邪魔になるかなって」
「はは、邪魔だなんて、そんな」
「な、なあ・・・はは」


完全に見透かされているような気がしてならない。


「さあ、それじゃあ始めましょうか」




自分の家族以外と食事をするのは珍しいことだが、古泉家は居心地がいい。
美しい顔ばかりが並んでいるのも初めは緊張するが、
慣れてしまえば大変心地良い空間と化す。


「おいしいお肉ね、キョンくん、お母さまにお礼を伝えておいてね」
「野菜も旨いな。さすがはキョンくんのご親戚お手製だ」
「いえいえ・・・」



あだ名がいつの間にか浸透しているのがなんとも。
古泉自身にはそう呼ばれたことはないが、
自分でつい、キョンでいいですと言ってしまったせいでは、ある。



「今夜は泊まっていけるんでしょう?」
「はい、迷惑でなければ」
「もちろん歓迎だよ。一樹の部屋でいいかな」
「いいに決まってるよねえ、キョンくん」


ウインクを飛ばしてくるお姉様。か、勘弁してください。







家の風呂よりもふた周りは大きい風呂に浸かり、
古泉のことなどを考えていると、
突如として浴室のドアが開いた。


「うわっ!」
「あ、す、すみません・・・驚かせてしまって」



なぜか古泉が入ってくる。裸、ってことは風呂に入る気か?
まだ俺は上がっていないぞ、見れば分かるだろ!


「時間短縮のために、ふ、二人で入るように、姉が・・・」


家族の暴走を止めるのは家族の役目だぜ、古泉・・・。


「狭いかと思いますが、ご一緒させてください」



狭いとか広いとかは関係ないんだ。
お前の体が至近距離にあって、俺が、我慢出来ると思ってるのか。
我慢出来たことがあったか?ないよな、無理だよな。
いったん浴槽から出て、頭と背中は流してやる。
上を向かないと髪を洗えないなどと言う女々しいこいつだが、
洗うときに顔が見れるから悪くはない。
すっかり体も綺麗にして一緒に浴槽に入ると、湯が溢れる。
二人で入るのにはぎりぎりの大きさだ。
男子二名、だからな。完全に遊ばれている、あの方に。
遊ばれていると分かっていながらも、理性が軟弱な俺だ。



「古泉、膝に乗れ」
「膝ですか?はいっ」


乳白色の入浴剤のおかげで体は見られていない。
体を浮かせて近寄る古泉を思い切り引き寄せて唇を重ねた。




「ん、むっ・・・!ちょ、ちょっと、まっ」
「待てない待たない、やるぞ、古泉」
「何をバカなことを・・・!」
「俺は今日一回も抜いてないんだ、お前といるのに。ありえないだろ!」
「駄目ですよ!両親どころか姉がいるんですよ、今夜はっ」
「どうせバレてんだからいいだろ」
「あなた・・・いつも後で絶対後悔するんですから、やめてくださいっ」



古泉の言うことはごもっともだ、
俺は欲情すると後先考えずにやりたくなり、
結果、鶴屋さんや朝比奈さんに見られたり、
妹にもバレて母親に報告されそうになったりと、燦々たるものがある。
でもな、昔から言うだろ、
据え膳食わぬは男の恥、と。




「誰が据え膳ですか!」
「もう俺もこんなだし」
「ひゃっ・・・こ、擦らないでっ・・・」
「お前好きだもんな、こうされるの」
「ダメです・・・!」
「な、入れようぜ」
「だっ、め・・・あ、あう、ふっ・・・!」
「慣らしてねーのに、入りそ」
「や、やだっ、あ、いやっ、ああう・・・!」



お前だって準備万端、じゃないか。
ああ、夕飯前に散々弄くったもんな、そのせいか。
さすがにこんなだと、やらないほうが体に毒だぜ。主に俺の。



「大声出すなよ、バレるから」
「だ、め、ですっ・・・!」
「あ・・・」
「ん、んううぅっ・・・!!」



唇は塞いでやったが、浴室内は音が響く。聞こえてないといいんだが。
口付けたままぐぐ、と奥まで入れていくと、体をぶるりと震わせる。
また湯が溢れているな。あとで足しておこう。



「だめ・・・だめ、です、よっ・・・」
「でも気持ちいいだろ」
「だ、けどっ」
「好きだよ、古泉」
「っ・・・!」
「締めるなよ。そんなに嬉しいか、好きって言われるのが」




もう何度も何度もやってるのに、まだそんなことを気にしてるのか。
真っ赤になって俯いちまった。
あのな、誰が、好きじゃない奴の家で一緒に風呂など入ってこんなことできるんだよ。
家族もいるってのに。



「好きだぜ、好きだ」
「・・・・・・!!」



耳元で言ってやると面白いくらい体がびくびくと反応する。
惚れすぎだろう、お前。
それならもっと素直に楽しめばいい。

奥まで入れてしばらく動かさずに、
耳元でしつこいくらい繰り返していると、泣いてしまった。




「あ、あっ、あそば、ないでっ・・・」
「泣くなって」
「だ、って・・・ひどい・・・」
「別に嘘じゃないから、お前は感じてりゃいいんだよ」
「あ、あうっ・・・!」



持ち上げてからまた奥まで突いてやれば涙を流しながら気持ちよさそうに声を上げる。
そう、それでいい。
今日はかなり奥まで入るな、やりたかったか、そんなに。



「やっ、だめ・・・い、いっちゃうっ・・・」
「おう」
「おふ、ろ、汚しちゃいますっ」
「大丈夫だから」
「あ、あ、あぁっ」




前は触らないまま腰だけ持ち上げて下ろして、
を繰り返すと、必死に声を殺しながら達した。
こっちだけでイけるってすごいよな。
俺にはわからん感覚だ。



「まだ力抜くなよ、古泉っ」
「ああう、あ、あっ!」
「中に、出すっ・・・!」
「や、やだ、だめっ・・・あ、あーっ・・・!」



だめ、なんて言う割には俺の体に腕を回したまま、
抱きしめてくるものだから抜きようがなかった。
繋がったまま俺も限界を向かえ、
余韻を楽しもうと古泉キスをしようとしたときに思い切り殴られた。



「うお!何すんだ!」
「そっれは・・・こっちの台詞です!!」
「バカ、お前どんだけ感じてたと思ってんだ」
「感じてません!!」
「そこを否定するのか・・・この有様で」



この浴槽に浮かんでいるものを見なさい。
俺だけじゃないぞー、これは。
むしろ俺のあれはお前ん中だしな。
こらこら、目を逸らすんじゃない。





「ひどいです、こんな・・・家族に知られたら恥ずかしいのは僕なのに・・・」
「俺も責任取ってやるよ、そうしたら」
「嘘ばっかり・・・」
「嘘じゃねえ。俺のことを信じなさい」



俺がお前に嘘をついたことなんてあったか?
ああ、あったな、1回、2回、3回・・・結構あったかもしれない。
でも今のは嘘じゃないし、


あと、お前のことを好きだってのも、嘘じゃないから。






浴槽の中をいったん全部入れ替えて、
体の外も中も綺麗にしてやってから出ると、
すでに俺が入り始めてから1時間半が経過していた。
いくら風呂好きといえど、
人様の家でここまで長い時間はいる奴はいないだろう。
途中で様子を見に来なかったということは・・・




「あっ、キョンくん、一樹」


のぼせかけて赤い顔でふらふらと歩く古泉を支えて
部屋に戻ろうとしていた矢先、階段を降りてくる古泉・姉と遭遇した。



「お風呂、長かったわね」
「え、ええ、すみません、ついつい話し込んでしまって」
「ううん、いいの。キョンくん、男前だね〜」





それが捨て台詞だったようで、
お姉さまは自分のバスタオルを持って浴室へ入っていった。




ぜってー、聞いてただろ、さっきの。









「悪趣味だよな・・・お前の姉ちゃん・・・」
「逃げたいです・・・」
「家族公認ってことで、もう諦めようぜ」
「バカなこと言わないでください」


部屋に戻ってからは頭をかかえてうずくまりっぱなしの古泉に、
俺が何を言っても無駄なようだ。



ここまできたら開き直るしかないじゃないか。
仕方ないから次に古泉が顔を上げたときに言ってやろう、





ちゃんと責任取って一生面倒見てやるよ、とでも。



thank you !

新年からしょうもないものばかりですみません(平謝)
古泉は絶対一人暮らしだと思うけど何かの気の迷いで。
これじゃあ古泉全然かわいそうじゃなくなるし。古泉はかわいそうに限る!

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