火傷−3 side-I







嫌な予感は、見事に的中した。


「え、あ、いやですっ」
「うるさいぞ、古泉」


腕組みをしたまま静かに座っていた彼の隣に腰を下ろした途端に、
体が横に投げ出され、
いつの間にそうしていたのか、
外したベルトで手早く腕をベットにくくりつけられた。


「なっ、何をするんですか!」
「こうでもしないとお前、素直にならないだろ」

唯一自由な足も、彼の全体重をかけて押さえつけられていて、動けない。


なんとかしなくては。
このままじゃ、いけない。
第一こんなことは、僕だって望んでない。

僕が欲しかったのは彼の優しさや愛しさのほんのひとかけらだったのに。
こんなことを、したいわけじゃない。

なんとか、しないと。
こんなことは、やめさせないと、
でも、どうやって?


また、彼の唇の感触が戻ってくる。
数時間前よりもずっと長いキス。
こんな状況なのに、
すごくドキドキして、
考えることをやめてしまいそうに、なる。


「口あけろよ」
「・・・」


できない、
そんなこと、できない。
口の中まで侵入されてしまったら、
僕も、彼も、引き返せなくなる。


目も唇もかたく閉じて、諦めてくれるのを待った。
まだ。
まだ戻れます。
一時の気の迷いだったと。あなたがそう言ってくれれば。


「明日ハルヒを無視してもいいのか?」
「!!な、何を」
「神様の機嫌を損ねると、まずいんだろ?」


ひきつったような笑みを浮かべてとんでもないことを、言う。
彼女が心を開きかけている相手に、突然そんなことをされたら。
また、恐ろしい日々が、戻ってくる。


「ひどい、です」
「お前が素直にならないからだよ」


少しだけ開けた唇の間からするりと舌が滑り込んできて、
口内に、彼の温度が、伝わる。
熱い。
熱い。
同時に体がびくんと跳ねて、鼓動が早まり、下腹部に熱が集まる。


す、ごく、気持ちが良かった。


「う、んんっ」

顎を掴まれてさらに口を開かされる。
深く入り込んでくる刺激に驚いて、
体をふるわせた。
目を見開くと満足げに彼が笑っている。




普段はめったに笑顔なんか見せないのに。
特に、僕には。



体から力が抜ける。
弄ばれる音が大きく耳に響いて、
おかしくなりそうです。


唇が離れると、透明な糸がぬるりと伸びて、
恥ずかしくてまた目を閉じた。


「すげー顔」


「・・・っ!」


鏡なんか見なくても分かる。
耳まで熱い。
唇からは唾液を垂らしたままで、
瞳は、涙が溜まっている。
誰にも見られたことのない、
そして見せるようなことなど起きるはずがなかった。

恥ずかしくて恥ずかしくて、消えてしまいたい。
神様。どうかこの瞬間に、僕を消してください。


首をめいっぱい曲げて視線から少しだけ逃げることしかできなくて、
彼はそんな僕を面白がって見ていた。
前髪を引っ張って正面を向かせようとして、
痛みに耐えて抵抗する僕を楽しそうに見ていた。


堪えていたのに、涙腺が崩壊して、
ついに涙が流れる。

悲しくてたまらなかった。
ただ、悲しかった。



「!や、嫌です!」
「そんなに気持ちよかったか?」

腕が、手が、足の間に伸ばされ、
制服の上から、触れられる。


唇と同じだけの熱を持って反応してしまっている。
それは、それは、ダメですっ・・・!

がちゃがちゃと音を立ててベルトをはずそうと腕をがむしゃらに動かしても、
事態に変わりはなかった。

僕の様子なんか気にも止めず、彼の指はベルトを外してファスナーを下げる。
窮屈な空間から解き放たれて、
分かりやすすぎる姿が見られる。


ああ、ああ、もう、死んでしまいたい。


「古泉、漏らしすぎ」


抗議する間もなく、下着がずりおろされて、
頭に血が集まるのが、分かる。


「いや、いや、いやです!」
「うるさい、こんなになってるくせに何が嫌なんだよ」


いきなり強く先端を擦られ、声を上げた。出したことのない、高い声。


親指をそれで濡らしてぬるぬると先端を撫でる。
そのたびに体は震える。
意志には反して快楽にすっかり負けてしまっている体は、
彼の動きに素直に反応してもっともっとと欲しがっている。


「あ、ああ、あぅぅっ」
「古泉、気持ちいいか?」
「ああああっ、うっ…!や、です、も、いや…」
「いやなわけないだろ、馬鹿」


濡れた手で全体を擦られて、
駄目になりそうだ。
こんな姿は見られたくないのに。
あなたには一番見られたくなかったのに。
もう、戻れないところまできている、
それは分かっても、できる限りの力で、我慢しなくちゃいけない。



「出せよ、もう限界だろ」
「う、ううっ」

全身にありったけの力を込めて、耐える。
気持ちが良くて負けてしまいそうな頭を心を、
なんとかつなぎ止める。


「ったく…。おい、口開けろ」


ふるふると首を横にやる。


「涼宮ハルヒ」
「っ、う…!」


開けてしまったら、
また彼の舌が入ってきたら、
あの温度を感じてしまったら、
絶対に耐えられない。
わかってる、わかってるけど、屈するしかない。
その名を出されたら。



「古泉・・・」
「ん、んんんっ!」


耳元で囁かれる名前。
直後の舌への刺激。




それだけで十分だった。








彼の制服にべたりとついた白い跡。


涙が止まらなかった。
悲しくて、情けなくて、胸が苦しくて。


「ごめ、んなさいっ…!」


うまく言葉が出てこない。
どうしようもならない。



彼は無言でブレザーを投げ捨て、
僕の体に飛び散った液体を二本の指ですくう。
ぞっとした。


まだ、終わっていない。






thank you !

なんとまだ続きます。
ご承知の通り私は古泉の前髪引っ張るのが大好きです・・・
キョンのデコも萌えますが古泉も相当萌えるはずだ!
というわけで続きもガチエロですが、どうぞ。
続きを勇気を出して読む


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