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ぬめった指が背後へ回る。 ありえない場所へ。 堅く閉じた場所をとき解そうと。 ありえない、ありえません。 「そ、こは、ほんとに、嫌です、嫌です」 「お前だけ気持ち良くなって終わりかよ」 「それは・・・あっ!い、痛い、ですっ」 体の反応を無視して、内部に指が入り込む。 痛い、痛い。 無理に決まってます。 そんなの、入るようにはできていない。 「う、うう、痛いです、痛いですっ」 「お前な、これで痛がってたら入らないぞ」 なにを?なにが?彼はなにをしようとしている? 「悪いな、古泉。俺も余裕ないわ」 自身のベルトも外して、 膝まで、一気に下ろす。 見ていられない。 うつ伏せにさせられ、腕が痛むのを気にも止めてもらえないまま、 あてがわれた。 怖い。すごく怖い。 歯ががちがちと音を立てて揺れる。 汗と涙が混ざってベットに落ちる。 こんなことできない。 できない。 「ううううぅっ」 「力抜け、古泉」 無理に決まってます。 両足を痛いほどに開かれて、 指で入り口を無理矢理に開かされ、 彼が、入り込んでくる。 「うああああっ、痛い、痛いっやだ、やだ、無理、ですっ」 「ちっ・・・」 ネクタイが口に回される。 声を上げるより先に堅く結ばれる。 なんて、ことを。 「お前、うるさいんだよ。黙ってろ」 首筋を吸われ、一瞬気がゆるんだ隙に、彼が一気に侵入した。 「んんんん!!!」 「き、つっ・・・」 激しい異物感が、体内にしっかりと感じられる。 身が裂かれるような痛みに、悲鳴にならない悲鳴をあげた。 さすがにその声を聞かれたら隣人がこの部屋を訪ねるだろう。 彼は分かっていて、口を塞いだんだ。 じっとしているだけでも痛くて仕方がないのに、 彼はゆるやかに動きを進めた。 そのたびに激痛が走って、涙が溢れる。 「す、ご、お前ん中」 荒い吐息混じりの、興奮した声が、聞こえる。 二人の体液が混ざり合って、厭な音が聞こえてくる。 僕は、ちっとも気持ちよくなんかなかった。 「気持ちいい」 手が腰に回されると、彼の動きに合わせて、 彼を受け入れるために固定される。 さらに深くまで突き入れ、ゆるりと抜いて、また深くまで。 もう視界にはなにも映らない。涙でぼやけて、頭も、 繰り返される刺激でくらくらとしたまま働かない。 腕の感覚はとうになくなっていた。 「こいず、み、俺・・・だめかも」 爪がたてられて肌に食い込む。 でも、痛くなんかなかった。 感覚がなくなってしまったみたいに、 ただただ僕は揺らされる。 「古泉、古泉、こい、ず、みっ・・・」 果てる声を聞いて僕はぼんやり、 ああこの人は僕が古泉一樹だと分かってやってるだなあと、 ぼんやり思っていた。 解放された腕はだらりと枕の上に落ちる。 皮が擦れて血が滲んでいるのが、他人事のように見えた。 彼が何か喋っていたと思う、 だけど耳にも頭にも届かなかった。 体内にいる残留物が、ひどく、気持ち悪い。 早く掻きだしてしまおう、吐けるなら吐いたほうが楽かもしれない。 思っても体は動かないし視界も戻ってこない。 世界は変わってしまった。 あなたがたいせつだったのに。 あなたのことがとてもとても、すきだったのに。 冷たいタオルが不意に目元に押し当てられた。 だいぶ熱を帯びていたから、気持ちがいい。 しばらくそうされていて、タオルが離れたとき、 やっと視界が戻る。 不安そうな彼の顔が目の前に、あった。 こんなことをしたのに、 こんなひどいことをしたのに、 どうしてあなたがそんな顔を? いつもの、思いついたように僕に優しくしてくれる彼。 必死に彼女を喜ばせようと孤島の館と役者、シナリオを準備した僕に、 珍しく笑顔で皮肉交じりのねぎらいの言葉をくれた。 それだけでよかった。 同じ年の、まったく一般人の彼が、 僕を誉めたり認めたり信頼してくれることが、 嬉しくてたまらなかった。 いつも自然体で接してくれる彼が、 大切で、 大好きだった。 大好きだったんです。 「古泉・・・」 枕に顔をうずめて、声を殺して泣いた。 悲しかった。 想いを伝えられないまま、こんな風になってしまったのが。 言ってしまえばよかったんだ。なにも考えずに、伝えれば。 しばらく彼が頭を撫でていてくれたけれど、 いつの間にか、いなくなっていた。 ようやく体を起こしたときに、 テーブルに置かれたノートの切れ端に気付く。 謝罪の言葉なんかは勿論なくて、ただ、また明日。とだけ書かれていた。 彼らしいと思う。 ぐちゃぐちゃに皺のついたシャツを洗濯機に投げ込み、 シャワーをひねる。 いつも設定している温度が高めだったから、 肌に伝う瞬間、火傷をしたときのように痛んだ。
え・・・まだ続くの!?ついてきてる人はいるんでしょうか(沈黙)
やっとこ最初から最後までエロを書きましたぞ!
しかしなんという色気のなさ!&早いな、色々と!
楽しいのは私だけの気がします。このまま続きます。
→ラストまで駆け抜ける