火傷−4 side-I







ぬめった指が背後へ回る。
ありえない場所へ。
堅く閉じた場所をとき解そうと。
ありえない、ありえません。


「そ、こは、ほんとに、嫌です、嫌です」
「お前だけ気持ち良くなって終わりかよ」
「それは・・・あっ!い、痛い、ですっ」


体の反応を無視して、内部に指が入り込む。
痛い、痛い。
無理に決まってます。
そんなの、入るようにはできていない。


「う、うう、痛いです、痛いですっ」
「お前な、これで痛がってたら入らないぞ」



なにを?なにが?彼はなにをしようとしている?


「悪いな、古泉。俺も余裕ないわ」


自身のベルトも外して、
膝まで、一気に下ろす。
見ていられない。


うつ伏せにさせられ、腕が痛むのを気にも止めてもらえないまま、
あてがわれた。


怖い。すごく怖い。
歯ががちがちと音を立てて揺れる。
汗と涙が混ざってベットに落ちる。
こんなことできない。
できない。



「ううううぅっ」
「力抜け、古泉」


無理に決まってます。

両足を痛いほどに開かれて、
指で入り口を無理矢理に開かされ、
彼が、入り込んでくる。


「うああああっ、痛い、痛いっやだ、やだ、無理、ですっ」
「ちっ・・・」

ネクタイが口に回される。
声を上げるより先に堅く結ばれる。
なんて、ことを。


「お前、うるさいんだよ。黙ってろ」


首筋を吸われ、一瞬気がゆるんだ隙に、彼が一気に侵入した。


「んんんん!!!」
「き、つっ・・・」


激しい異物感が、体内にしっかりと感じられる。
身が裂かれるような痛みに、悲鳴にならない悲鳴をあげた。
さすがにその声を聞かれたら隣人がこの部屋を訪ねるだろう。
彼は分かっていて、口を塞いだんだ。


じっとしているだけでも痛くて仕方がないのに、
彼はゆるやかに動きを進めた。
そのたびに激痛が走って、涙が溢れる。


「す、ご、お前ん中」


荒い吐息混じりの、興奮した声が、聞こえる。
二人の体液が混ざり合って、厭な音が聞こえてくる。
僕は、ちっとも気持ちよくなんかなかった。


「気持ちいい」


手が腰に回されると、彼の動きに合わせて、
彼を受け入れるために固定される。


さらに深くまで突き入れ、ゆるりと抜いて、また深くまで。
もう視界にはなにも映らない。涙でぼやけて、頭も、
繰り返される刺激でくらくらとしたまま働かない。
腕の感覚はとうになくなっていた。


「こいず、み、俺・・・だめかも」


爪がたてられて肌に食い込む。
でも、痛くなんかなかった。
感覚がなくなってしまったみたいに、
ただただ僕は揺らされる。


「古泉、古泉、こい、ず、みっ・・・」


果てる声を聞いて僕はぼんやり、
ああこの人は僕が古泉一樹だと分かってやってるだなあと、
ぼんやり思っていた。







解放された腕はだらりと枕の上に落ちる。
皮が擦れて血が滲んでいるのが、他人事のように見えた。
彼が何か喋っていたと思う、
だけど耳にも頭にも届かなかった。
体内にいる残留物が、ひどく、気持ち悪い。
早く掻きだしてしまおう、吐けるなら吐いたほうが楽かもしれない。
思っても体は動かないし視界も戻ってこない。


世界は変わってしまった。

あなたがたいせつだったのに。
あなたのことがとてもとても、すきだったのに。





冷たいタオルが不意に目元に押し当てられた。
だいぶ熱を帯びていたから、気持ちがいい。
しばらくそうされていて、タオルが離れたとき、
やっと視界が戻る。


不安そうな彼の顔が目の前に、あった。
こんなことをしたのに、
こんなひどいことをしたのに、
どうしてあなたがそんな顔を?


いつもの、思いついたように僕に優しくしてくれる彼。
必死に彼女を喜ばせようと孤島の館と役者、シナリオを準備した僕に、
珍しく笑顔で皮肉交じりのねぎらいの言葉をくれた。

それだけでよかった。
同じ年の、まったく一般人の彼が、
僕を誉めたり認めたり信頼してくれることが、
嬉しくてたまらなかった。

いつも自然体で接してくれる彼が、
大切で、
大好きだった。


大好きだったんです。



「古泉・・・」



枕に顔をうずめて、声を殺して泣いた。
悲しかった。
想いを伝えられないまま、こんな風になってしまったのが。
言ってしまえばよかったんだ。なにも考えずに、伝えれば。

しばらく彼が頭を撫でていてくれたけれど、
いつの間にか、いなくなっていた。
ようやく体を起こしたときに、
テーブルに置かれたノートの切れ端に気付く。

謝罪の言葉なんかは勿論なくて、ただ、また明日。とだけ書かれていた。
彼らしいと思う。


ぐちゃぐちゃに皺のついたシャツを洗濯機に投げ込み、
シャワーをひねる。
いつも設定している温度が高めだったから、
肌に伝う瞬間、火傷をしたときのように痛んだ。


thank you !

え・・・まだ続くの!?ついてきてる人はいるんでしょうか(沈黙)
やっとこ最初から最後までエロを書きましたぞ!
しかしなんという色気のなさ!&早いな、色々と!
楽しいのは私だけの気がします。このまま続きます。
ラストまで駆け抜ける


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